元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト(当時は岡本カウアン=26)が12日、日本外国特派員協会でジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏(享年87)による性加害について記者会見を行った。
「日本のメディアではおそらく報じないだろう。外国のメディアならば取り上げてくれるのではと言われ、この記者会見を受けることにしました」と語る生々しい被害の全容や、被害に遭ったジャニー喜多川氏のタワマン内の映像なども紹介した。
カウアンは地元・愛知のモデル事務所時代、音楽活動をしたいと当時のマネジャーを通じて、ジャニーズ事務所に所属していた岡本健一(53)にデモテープを送った。すると、ジャニー氏から電話があり、東京国際フォーラムのコンサートに来るように言われ、その場でステージに上げられ、5000人の前で歌を披露し、ジャニーズJr.の一員に。と、夢のようなサクセスストーリーが始まった。しかし、愛知の実家から通うカウアンはジャニー喜多川氏のマンションに泊まるようになり、中学卒業直前に初めての性被害を体験したというのだ。
「ジャニーさんはパンツの上から性器を触り、パンツを下ろして性器を直接触り……口淫されました」と語った。
「被害者で僕が確実に知るのは3人だけど、出入りしている100人から200人全員がそうだったと思います」とコメント。在籍していた2012年から16年の間で15回から20回あったという行為はすべてが暗黙の了解。
■「ジャニーさんの一言ですべてが決まる」
「リビングにいてジャニーさんから早く寝なよと言われたら、そういうことなんだと思って」「声をかけられたらジャニーさんの寝室に一番近い部屋で寝ないと機嫌が悪いので」「寝ているふうで寝返りを打って拒絶することもあったけどあまり拒絶すると(ジャニー氏に冷遇され)翌日無視とか」「推してる子がデビューできるので……ジャニーさんの一言ですべてが決まるので」と逆らえない状況で、そればかりか、Jr.同士で「マンション行かないと売れないよね」「自分から行かないと売れないよね」と自ら身を投じるほど、ゆがんだ思考になっていたという。
カウアンがジャニー喜多川氏による性加害について家族に明かしたのは今から3年前くらいだそうで「芸能界の枕営業について話していて、『僕もあったくらいだからね』と口を挟みました。親は『えっ?』と。それまで親には否定していたので。『本当だったの?』『何で言わなかったの?』と言われてその時は深く話せないというか話をそらしました」と語った。
「僕のエンターテインメントの世界はジャニーさんが育ててくれたものだと思っています。一方で、ジャニーさんが当時15歳の僕やその他のジュニアに対して性的行為を行ったことは悪いことだと思っている」と語るように“悲しい思い”と“感謝”が入り組み、思考を混乱させている様子もうかがえる。
同志社女子大学教授(メディア論)の影山貴彦氏がこう言う。
「日本の特にテレビメディアがしっかり事実として伝えることは、日本のエンターテインメントの成熟に必要。海外から報じられたのもひとつのきっかけになったとは思いますが、本来なら自浄すべき内容。ジャニー喜多川氏が残した功績は大きいが、別の顔もあることに目をつぶるようなことはあってはいけない。カウアンさんの勇気に日本のメディアが応える番でしょう」
ジャニーズ事務所は創業者による性加害について直接のコメントをしていないが、代表者である社長自らが会見を開いて見解を発表すべきではないか。