倍賞千恵子「お兄ちゃんはステイホームをしなかったでしょうね」 妹・さくらが寅さんを懐かしむ

倍賞千恵子「お兄ちゃんはステイホームをしなかったでしょうね」 妹・さくらが寅さんを懐かしむ

「葛飾柴又寅さん記念館」のリニューアル式典で笑顔を見せた倍賞千恵子(右)と山田洋次監督=8日、東京・柴又

(サンケイスポーツ)

映画「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督(90)と女優、倍賞千恵子(80)が8日、東京・柴又で行われた「葛飾柴又寅さん記念館・山田洋次ミュージアム リニューアル式典」に出席した。

同記念館は寅年の今年でオープン25周年。山田監督は「9度目のリニューアル。こんなにうれしいことはありません」と感慨を口に。故渥美清さんが演じた主人公、車寅次郎の妹、さくら役で知られる倍賞も「柴又に来るたびに『やっぱりまだお兄ちゃんいるんだ』と思えちゃうんですね。ふっとどっかの陰から出てくる気がして。昔よりそれが強くなった」と挨拶でしみじみ。通算来場者もすでに500万人を突破し、今回は若年層向けに寅さんの「謎解きゲーム」なども導入された。

2人は式典後に報道陣の取材に応じ、「コロナ禍で寅さんはステイホームをしたと思うか?」との質問に、倍賞は「お兄ちゃんはしなかったでしょうね」と答えた。

「柴又に帰ってきたら(商店街の)お店中がマスクをしてても、お兄ちゃんはしなかったんじゃないかな。やいのやいの言われても『分かった分かった』って言って、出かけるときにはもう忘れているみたいな。寅さんがマスクをしている顔が思い浮かばない。『俺はかかんねえ』『外でいい空気吸った方がいいよ』とか言って、マスクをしないで江戸川の土手を口笛拭いてふらふら歩いてるんじゃないかしら」と続けた。

すると、山田監督も「薬屋さんに美人のおかみさんがいたら喜んで(マスクを)買ったんじゃない?」と、話をつなげて笑いを誘った。

一方で、山田監督はコロナ禍で頻繁に聞かれるようになった「不要不急」という言葉に言及。「あの言葉が出てきたとき、いまなら『不要不急の寅次郎』っていうのを作ろうかなと思った。寅さんっていうのは代表的な不要不急な人間なんですよ」と説明した。

「寅さんはいなくてもいいんですよ。だけど彼がいなかったらやっぱり寂しい。さくらさんたちも、いなくなって最初はホッとするけれど、だんだん寂しくなる。帰ってきてほしいなと思う。寅のような人間を受け入れて、そういう存在を楽しむ緩やかさが、この国からほとんど消えつつある。ちょっとしたことですぐ目くじらを立てる」

その上で山田監督は、「寅さんのような人間を育てたのは、寅さんの家族のような人たち。気持ちが優しくて、温かくて、複雑な人間関係をうまく処理しながら仲良く生きていく術を知る」と指摘。「そのような人たちが育つためにはどんな環境が必要なんだろうかという難しい、大事な課題に、この記念館は答えてくれると思います。これからも長く続いてほしい」と思いを込めた。

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