作曲家の神津善行さん親子、楽譜で共演「音画展」…父が処分考えた映画音楽の直筆譜面に風景画

作曲家の神津善行さん親子、楽譜で共演「音画展」…父が処分考えた映画音楽の直筆譜面に風景画

作品について語り合う神津善行さん(左)と善之介さん 【読売新聞社】

(読売新聞)

 テレビや映画の音楽で知られる作曲家の神津善行さん(90)の直筆楽譜に、長男の画家、神津善之介よしのすけさん(50)が風景などを描き加えた作品を集めた「音画展」が来月、東京で開かれる。「父と一緒に仕事をした軌跡を残したかった」と善之介さん。善行さんは「たまたま親子だったから、新しい形が生み出せてよかったんじゃないか」と語る。

 善之介さんはスペイン在住。30年前に絵を学ぶために渡り、今年は画業25年に当たる。「若い時は親の名前を出さずにやってやると突っ張ってきたが、ここまで続けてきて片意地を張ることはなくなった」と語る。父が手がけた300本以上の映画音楽の直筆譜面の処分を考えていることを知り、合作を思い立ったという。

 「母(女優の中村メイコさん)は作詞で、2人の姉(神津カンナさん、はづきさん)は朗読で、父との共作や共演を果たしている。父とあとどれぐらい一緒にいられるだろうと考えると寂しい気持ちになり、思い出に何かを残したかった」

 素材として用いたのは、1960年代に神津さんがオーケストラ用に鉛筆で書いた総譜で、美しく丁寧に書き込まれている。「音符の羅列が作る構図も面白い。絵とどう融合させようかと考えた」と善之介さん。譜面を透明な樹脂で加工した上に、水彩や油絵の具で描いた。紙の黄ばみやセロハンテープの劣化の痕も味わいとして生かしている。

 楽譜には善行さんの魂が宿り、和音の再検討を要する印も付されるなど創作の苦労もにじむ。「これが生活の種になった。いとおしくて取っておいた」と善行さん。「幼少の頃、父は厳しく、楽譜の上をまたいだだけで怒られた。いたずら書きをしようものなら……」と当初はちゅうちょしたという善之介さんだが、次第に創作の翼は自由に広がった。太陽の光彩が五線譜を芸術的に照らす作品から、譜面の上で昼寝をしているような猫の絵まで28点が完成した。

 タイトルはスペイン語で「共振」を意味する「Resonancia(レソナンシア)」。「音も色も周波数を持つ。それがぶつかり合って共振したら新しいものができるという夢を込めた」

 1月11〜15日、表参道の「ギャラリー5610」で。

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