本作で、ループの中で繰り返し殺される男・溝口を演じた伊勢谷。役柄を通して日本の死刑制度について実感を持って考えるようになったという。「死刑があるということがどれだけの恐怖なのか、今の日本で生きながら感じるよりも、この映画に出たことでより感じました。役を通して、死刑がある国でルールを変えるのではなくルールに飲み込まれたまま生きるのを体現していることが怖かった」などと話した。
一方、初共演の伊勢谷とのコラボについて聞かれた若葉は「伊勢谷さんとは初共演でしたが、肩肘張らずに接することが出来た。撮影中にコミュニケーションを深めることが出来て、結果的にそれが映画に映し出されたと思う」と手応え。伊勢谷は「いわゆるTVドラマ的演出がなくて、それが結果的に2人の間のフランクさを感じさせたのかも。日本のよくあるドラマみたいにハキハキしている人間が出てこない。その空気が幸いした」と分析していた。
映画監督として「遅咲き」などと指摘された荒木監督。それには「僕は映画監督になることが目的ではなくて撮りたい映画を撮るのが目的だった。そのために良いアイデアが浮かぶのを待っていたら50歳になっていました。でも映画を作るのに年齢は関係ない。僕のことは“新しい世代”と呼んでほしい」と話した。
本作製作にあたり『恋はデジャ・ブ』(93)、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)、『ミッション:8ミニッツ』(11)などのループ系作品を細かく分析したそうで「沢山のループ映画を観てパターンを楽しみました。その行為は、それら過去作品にないものを作るための研究でもありました」とこだわりを明かしていた。
取材・文/石井隼人