井浦新 暴走の群衆が虐殺、映画「福田村事件」舞台あいさつ「どちら側にもなってしまう」

井浦新 暴走の群衆が虐殺、映画「福田村事件」舞台あいさつ「どちら側にもなってしまう」

大阪市内で映画「福田村事件」の舞台あいさつの前に取材に応じた井浦新(右)、森達也監督(撮影・松浦隆司)

(日刊スポーツ)

俳優井浦新(48)が3日、大阪市内で公開中の映画「福田村事件」(森達也監督)の舞台あいさつに登壇した。

1923年(大12)9月、関東大震災直後の福田村(現千葉県野田市)で香川県から来た薬売りの行商人15人が、讃岐弁で話していたことで、朝鮮人と間違えられて、幼児や妊婦を含む9人が、地元の自警団に惨殺された事件を題材にしている。当時、震災直後から「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といったデマが広まり、朝鮮人らが虐殺された。なぜ群衆は暴走したのか。同調圧力が連鎖し、「集団の狂気」となる事件の詳細を生々しく描く。

朝鮮で教師をしていたが、故郷の福田村に帰ってくる澤田智一を演じた井浦は舞台あいさつ前に取材に応じ「みんなが魂を削りながら森監督に向かっていった」と振り返り、「スクリーンを登場人物の表情が本当にすばらしいなと思った」。澤田の妻の静子を田中麗奈、行商団の親方・沼部新助を永山瑛太、船頭の倉蔵を東出昌大が演じる。

舞台あいさつで、井浦は「いまも同じようなことが日本だけはなく、世界中で起きていると思います。僕たちはいつでも、福田村の村人たちにもなってしまうし、行商団側にもなってしまう。どちら側にもなってしまう」と呼びかけ、「1人1人がその局面に立たされたとき、踏みとどまったり、手を差し伸べたり、争いがなくなる方向にいくように、この映画を思い出してほしい」とメッセージを送った。

オウム真理教を取り上げた「A」「A2」などのドキュメンタリー作品で知られ、初めて劇映画に挑んだ森監督は「オウム真理教のドキュメンタリーを撮って以来、集団と個というのは重要なテーマで、抱え続けてきた。集大成的に形にできて感無量です」と話した。作品は第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ(コンペティション)部門へ出品されことが決まった。

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