■SXSWでパワフルなパフォーマンス、耳の肥えた観客を前に手応え
1本目は3月11日。日本最大級のサーキット・フェスで、SXSWでの開催は昨年に続き2年目となるTokyo Calling主催のステージ。バックドロップ・シンデレラやHALLEYら計5組が出演したイベントの3番目、深夜11時からというSXSWではとてもいい時間帯の出演だ。
邦楽ファンで埋め尽くされた会場の中、1曲目の定番「LaLaLa」でスタート。「What’s upAustiiiinnn!?」とのChi-の煽りに、一気に熱温が上がる。また、ライブで新たな魅力が開花する曲「Where Is The Storm」では、彼らのステージを観たことのない人にとって、想像以上にグルーヴの太いベースに驚かされるだろう。湿気を帯びたオースティンの街と、SXSWミュージックデイ初日で沸き立つ街の喧騒に、Chi-のエキセントリックなハイトーンボイスがおおいにフィット。パワフルなパフォーマンスを披露した。
もう一つのオフィシャルステージは、60年以上の歴史を持つイギリスの有名ギターアンプメーカー・Marshall が主催するMarshall Funhouse。人気会場であるParishは、トム・ヨークやスラッシュといった大物に愛される場所だ。このイベントに、ダイナソーJr.やシャノン&ザ・クラムスらが出演する中、唯一の日本人アーティストとして招聘されたのがCLWPだった。
ステージ装飾がオレンジ色のカラフルなものだったり、アメリカのレトロキャラクターを使ったアニメーションVJ映像が使われていたりと、まるで彼らのために作られたようなステージ。運命的ともいえる環境下で、楽しむ観客たちからコール&レスポンスや、ハンドクラップを引き出していく。もはや、第2のホームと呼びたくなるような一体感。ラストの「LoveYou!!!!!!」の「Ah!!!!!!」と叫ぶChi-のスクリームには、いつも以上に短い宴の終わりを名残り惜しむ気持ちが滲んでいたようだった。
多くの観客の前でも臆することなく、様々なジャンルとリズムでどんどんカメレオン・ワールドに巻き込み、体を委ねさせ、最後は喝采のシャワーを浴びていた彼ら。ただでさえ耳の肥えた人たちが住む街オースティンで、世界中から音楽のプロが集まっているSXSW。さらにその中の人気会場で得た手応えが、今後彼らのライブやサウンドプロダクションにも好影響を与えるのではないだろうか。