森記念財団都市戦略研究所は9日、2023年版の「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」を発表。世界の主要都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し順位付けしたもので、東京は8年連続で3位にランクインした。1位はロンドン、2位はニューヨークだった。
今回の調査について同研究所によると、東京は2022年の調査結果で4位のパリに僅差にまで詰められていたが、今年は「居住コスト」の評価を高めたことで居住分野でトップ3に入り、さらに文化・交流分野においてもスコアを伸ばしたことで、わずかな差で3位の座を維持した。しかし、経済分野では10位に落ちるなど、成長と後退が分野によって明確に分かれたという。
1位のロンドンは、3年ぶりに総合スコアが上昇した。ロンドンの強みをけん引するのは「文化的魅力と国際航空ネットワークの強さ」であり、文化・交流分野で1位、交通・アクセス分野は4位を獲得した。さらにその他の分野においても高い順位を維持しており、最も低い環境分野でも11位と、バランスのとれた総合力の高さが見られたという。
2位のニューヨークは、総合ランキングのスコアにおいてロンドンに引き離される結果に。経済分野と研究・開発分野では例年同様1位を獲得しているものの、環境分野は28位まで順位を落とし、さらに6分野の中で最も低い38位の居住分野においても、順位の上昇はみられなかったという。同研究所によると、「強い分野と弱い分野の差が大きい点がニューヨークの特徴」という。
調査は「国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出される」という考えに基づき作成されたもの。GPCIは、順位そのものだけでなく、ランキングの構成要素を分析することで、変わりつつある世界の中で、各都市がどのような強みや弱み、課題を有しているのかを詳細に把握することができる。