米ニューヨーク・タイムズ(電子版)は23日までに、1912年(明45)に沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」に乗っていたツアー運営会社「オーシャン・ゲート社」の最高経営責任者(CEO)ストックトン・ラッシュ氏の妻が、タイタニック号沈没で亡くなった乗客の子孫だと報じた。
同紙によると、ラッシュ氏の妻はウェンディーさん。ウェンディーさんは、タイタニック号の沈没時に死亡した実業家イジドー・ストラウス氏と妻アイダさんの「やしゃご」に当たるという。
同紙などによると、ストラウス氏はタイタニック号の1等船室にアイダさんととも乗船していて、沈没に遭遇した。自身よりも女性や子どもを先に救命ボートに乗せるよう働きかけ、妻のアイダさんも夫とともに船内に残ることを決断し、船とともに海中に沈んだとされる。
1997年に公開され、世界中にで大ヒットした映画「タイタニック」(ジェームズ・キャメロン監督)のワンシーンに登場する、船とともに沈みゆく老夫婦は、ストラウス夫妻がモデルになったといわれている。
沈没から110年以上の時を経て、タイタニック号をめぐる悲劇が再び、一族に起きたことになる。
米沿岸警備隊は22日、行方不明になっていた「タイタン」の破片を海底で発見したと発表した。船体は水圧で押しつぶされたとみられており、乗船していたラッシュ氏ら5人の生存は「絶望的だ」とし、ツアー運営会社も全員が死亡したとの見方を示した。