ロシアの侵略、生々しい証言で「戦争語彙集」…ウクライナ詩人が来日し朗読会

ロシアの侵略、生々しい証言で「戦争語彙集」…ウクライナ詩人が来日し朗読会

「戦争語彙集」を朗読するオスタップ・スリヴィンスキーさん(右)(18日、東京都新宿区で)=高橋美帆撮影 【読売新聞社】

(読売新聞)

 ウクライナの詩人、オスタップ・スリヴィンスキーさん(45)は、ロシアの侵略による戦禍の中で、避難する人たちなどから話を聞いた。その生々しい証言を集めた「戦争語彙ごい集」は評判となり、ヨーロッパを中心に10か国語以上で翻訳され、邦訳も昨年12月に岩波書店から刊行された。スリヴィンスキーさんは今月、国際交流基金の招きで来日。早稲田大学(東京都新宿区)で18日、自著の朗読を行い、学生たちと平和の尊さについて語り合った。

 「戦争語彙ごい集」は、戦闘が激しいウクライナ東部から逃れてきた人たちや、その支援に携わる市民らの77の証言を集めた。触れられた「戦車」や「銃弾」などを「語彙」として、辞書に見立てている。降り注ぐ砲弾や凄惨せいさんな街並みの光景が描かれており、読む者の胸に迫る一冊だ。

 スリヴィンスキーさんはこの日、学生らを前に、同書の一部をウクライナ語で朗読。学生たちとの対話で「沈黙して言葉を使わなければ、見たものは表現できず、侵略者を罰することもできない」と語りかけ、「この本が日本で新たな対話のきっかけになっていることを目の当たりにし、感謝している」と述べた。

 本の邦訳を担当した日本文学研究者で早大特命教授のロバート・キャンベルさんも登壇した。

 作家の村上春樹さんから寄せられた「戦争はもちろんどこまでも残酷なものであり、どこまでも悲惨なものなのだけど、ここに集められた、まさに戦火の下にある人々の語る『戦争に関する言葉』たちが実に美しく、優れた詩のように率直であることに驚かされ、心を打たれました」とのメッセージも、会場で披露された。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね♡
URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アフィリエイター初心者です!よろしくお願いします。

目次
閉じる