会見の冒頭、大きく息をはくと「本日はお忙しい中…」と言い出したところで「ダメだ、もう泣いてる…。こういうの弱いんだよな…」と大粒の涙が。改めて「この度、私、太田宏介は18年間の現役を引退することを決断しました」と引退を発表した。引退を決めた経緯を問われると「引退を考えていたのは、ここ3年、4年前ぐらいから。去年のシーズンが終わって、今シーズンが始まる前に最後のシーズンにしようと決めました」と明かしていた。
現在、町田ゼルビアは勝ち点71でJ2の首位を走る。「J2優勝、J1昇格が見えてきている。そういうチームの一員として戦えるのがうれしいですし、幸せです」と思いを語ると「最後にFC町田ゼルビアで昇格して、優勝してハッピーエンドで終えられるように頑張っていきたい。それが今、僕ができるFC町田ゼルビアへの恩返しかなと思います」と語っていた。
1部で引退報告を終え、2部はゲストを呼んでのトークを行った。太田は「森重選手かな?」とニヤリとする中で、ペナルティ&ライセンスの井本貴史が「出にくい!」とツッコみながら登場した。ヒデが「もうちょいやれるでしょ?」と聞くと太田は「そう言っていただけるのが、うれしい。プロ1年目の横浜FCでJ1に昇格した。城彰二さんが、バリバリでプレーしていたのに、その年で引退した。ヒザがボロボロだったのはあったんですけど、その引き際がカッコいいなと当時に思った。それに似た境遇になってきた。上がるかもしれないから辞めるのを決めたわけじゃないですけど」と明かした。トークの流れで、太田の代名詞でもあるクロスの上げ方もレクチャーするなど、貴重な話も行った。
日本を代表するファンタジスタの小野伸二(44)も引退を発表している。太田は「清水エスパルスで一緒にプレーをさせていただいた。伸二さんの周りって笑顔であふれている。何よりサッカーを楽しんでいる」と大先輩の背中を語ると「伸二さんが発表される数日前に『引退します』という連絡をした。そうしたら伸二さんも『俺も引退する』と聞きました。同じ年に引退できるなんて光栄」と笑顔を見せていた。
その流れから引退を聞いた時の話に。井本は、1ヶ月ほど前に太田から直接、引退の報告を受けたそう。「仕事で新幹線に乗るために、新横浜の駅に行ったら(太田が)改札でウロウロしていた。家族が夏休みで実家に帰っていて迎えにきた、と。そこから家族の話をしてて『新幹線の時間やから行くわ』って言ったら(太田が)『あ、僕、引退します』って(笑)」と新幹線もびっくりのスピード感で伝えられたそう。井本は「まぁまぁのボリュームで『どのタイミングで言うとんねん!』って」と大ツッコミしたことを振り返っていた。
太田は2006年に麻布大学附属渕野辺高校から横浜FCに入団。清水エスパルス、FC東京、フィッテセ(オランダ)、名古屋グランパス、パース・グローリーFC(オーストラリア)でプレーし、2022年7月に町田に加入。今季はリーグ戦5試合に出ている。2010年には日本代表に選出され、7試合に出場していた。