考古学者にして冒険家の主人公、インディ・ジョーンズ(フォード)が秘宝を求めて様々な危険や謎に立ち向かう同シリーズ。最新作ではインディが、“人類の歴史を変える力”を持つ究極の秘宝を巡り、因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラー(マッツ・ミケルセン)を相手に、全世界を股にかけて陸、海、空と全方位で争奪戦を繰り広げる。巨匠ジョン・ウィリアムズのおなじみのテーマ曲「レイダース・マーチ」に乗せて、インディと共に映画館で壮大な冒険を体験する、究極のアクション・アドベンチャーの幕が上がる!
1作目〜4作目まで全作を監督してきたスピルバーグは、本作では製作総指揮を担う。監督として白羽の矢が立ったのが、アカデミー賞脚本賞にノミネートされた『LOGAN/ローガン』(17)や、同賞の作品賞にノミネートされた『フォードvsフェラーリ』(19)を手掛けて注目を集めたマンゴールド。
フォードはスピルバーグからマンゴールドへと引き継がれた撮影現場について「不思議な感じでした。でも、スティーブン・スピルバーグと私は長い付き合いです。彼は信じられないほどの優しさを持っていて、寛大さが彼の核になっています。そして、この映画には彼の痕跡がたくさん残っているので、何度も話し合いながら撮影をしました。悪い意味ではありませんよ」と、本作の撮影を振り返る。
人気シリーズを引き受けることになったマンゴールド監督は「私たちは、彼(スピルバーグ)が何年も前に一緒に築き上げたもののDNAをたどっているのです。つまり、継続的な対話をしているようなものです。スティーブンのことを聞かれるとよく話すことですが、私は彼に会うずっと前から、彼に映画を学んでいました。8ミリカメラで映画を作り、彼の映画を観て、ワンショットずつ研究していました。だからこの映画では、自分のヒーローと対等な立場で出会い共演するという、ある種、夢のような機会を得ることができたのです」と、まさに手本としてきたスピルバーグが生みだした作品を、彼と一緒に手掛けられた喜びを語ってくれた。
さらに「自分が映画監督になるなんて夢にも思わなかったし、ましてやヒーローと一緒に仕事をするなんて、始めたころは考えもしませんでした。もちろん、映画には彼が作り上げたものが残っているんです。だから、私たちがやっていることはすべて、彼と一緒に始まった川のような水の流れであり、あるいはその支流なのです」と、スピルバーグへの敬意を表した。
マンゴールド監督は「インディ・ジョーンズ」というとてつもなく大きな作品で、永遠のヒーロー、インディの最後の冒険をどのように描くことになるのだろうか。一部では、スピルバーグが試写で鑑賞した際、本作を絶賛したという報道も取り上げられていたが、その仕上がりにはいまから期待が膨らむばかりだ。
文/山崎伸子