同チームは検事総長経験者、精神科医、性暴力などの被害者支を実践している臨床心理の研究者から構成し、同事務所とは一切関わりを持たず第三者委員会としての機能を有しているという。ジャニー喜多川さんからの性被害を申告する人たちに寄り添い、同事務所の過去の対応上の問題点を調査・検証し、ガバナンス上の問題に関する再発防止策を提言、実行を求める。5月29日に第1回の会合を開催し、資料の徴求・検討、ヒアリング対象者の選定などを行った。
この日出席したのは、同チームを指揮する元検事総長で弁護士の林眞琴氏と精神科医の飛鳥井望氏の2人。林氏がチームの活動方針を3分ほど説明した後、すぐさま質疑応答が行われた。
そもそも代表取締役社長・藤島ジュリーK.氏が性加害の有無について認めていない中でどう調査をするのかという質問について、林氏は「ジャニーズ事務所で起きたこと、これまでどのように対応をしてきたのか検証していく。その過程で、過去のジャニーズ事務所の対応、および前提の事実関係については私たちのチームの立場で検証する。その時に、その事実がどのような形でなされたのか認定するのは我々の“専権”。我々が事実認定をしていく」とした。
しかし、ジャニー喜多川さんが既に死亡していることから十分な事実認定ができるのかと再度問われると「事実認定で責任を追求する場合、はっきりとした証拠を収集できなければ事実認定はできない。事実認定自体を目的としている訳ではないのでヒアリングのなかで障害があるかもしれませんが、事実認定は専権でございますので認定できる事実を前提として提言をまとめて実行していく」と方針を明かした。
続けて「検証の結果、『このように考えた』と(ジャニーズ事務所に)お話します。その事実を事務所が認めるのか、認めないのか。事務所が認めなかったとしても、そのことによって事実認定は左右されない。そういった職責は果たして行きたい。受け入れて実行に移すか、当然、受け入れていただくことを期待しますが、それは事務所側の判断となります」とした。
調査・提言のスケジュールは「全く定まっていない」とし、中間報告の有無についても決まっていないという。「検討結果、再発防止策は皆さまにお知らせしたいが、どのようするかは調査、検証していく過程で徐々に決めていきたい」と語った。
■「外部専門家による再発防止特別チーム」出席者プロフィール
・林眞琴(はやし・まこと)
1983年に検事任官。東京地方検察庁特別捜査部検事、在フランス日本大使館一等書記官、法務省矯正局総務課長、法務省刑事局長、東京高等検察庁検事長、検事総長等を歴任し、2022年に検事を退官し、現在、弁護士。
・飛鳥井望(あすかい・のぞむ)
精神科医。公益財団法人東京都医学総合研究所副所長、日本トラウマティック・ストレス学会初代会長を歴任。現在、公益社団法人全国被害者支援ネットワーク理事、公益社団法人被害者支援都民センター理事長。