カズオ・イシグロさん「国を置き換えたらどうなる?」…黒沢映画リメイクで脚本

カズオ・イシグロさん「国を置き換えたらどうなる?」…黒沢映画リメイクで脚本

映画「LIVING」の記者会見で、作品の魅力を語るカズオ・イシグロさん=大木隆士撮影 【読売新聞社】

(読売新聞)

 【ベネチア=大木隆士】イタリア・ベネチアで開催中の第79回ベネチア国際映画祭で1日、黒沢明監督の「生きる」をリメイクした英国映画「LIVING(原題)」が上映された。2017年にノーベル文学賞を受賞した日本生まれで英国籍の作家のカズオ・イシグロさん(67)が脚本を担当し、同日の記者会見で、「黒沢映画を好きで見ていて、日本からほかの国に設定を置き換えたらどうなるかを考えていた。英国紳士を主人公にするのは、素晴らしいアイデアだった」と話した。

 「生きる」(1952年)は、胃がんで余命わずかと診断された市役所の市民課長が、それまでの生き方を見つめ直し、残りの人生を小さな公園建設にかける物語。官僚主義を批判し、ヒューマニズムをうたった名作だ。

 リメイク版は、舞台を第2次世界大戦後のロンドンに移し、主人公を英俳優ビル・ナイさん(72)が演じている。監督はオリバー・ハーマナスさん(39)。同映画祭では、最高賞・金獅子賞の選考対象とはならない部門での上映となる。

 イシグロさんは、2015年6月に本紙に掲載されたインタビュー記事でも、小説「忘れられた巨人」が黒沢監督の作品に影響を受けたと話していた。

 会見では、映画を製作した意味について、コロナ禍によるパンデミックで働くことへの考えが変わったことを挙げた。「人々は立ち止まり、自分がしていることと自分の人生がどうあるべきかを考えさせられた。一人一人の人生は非常に短い。この映画が若い世代に語りかけることを願っている」と話していた。

 「LIVING」は、日本では来年春公開の予定。

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