つげ義春の漫画「蟹」がまさかのフィギュア化「ラーメンをきざんで食べる蟹がとてもかわいく」ねじ式と並ぶ

 日本マンガ史の最重要作家のひとり、つげ義春の異色作「蟹」のフィギュアが登場した。世界最大級の造形・フィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)2024夏」が28日、千葉・幕張メッセで開催され、オデさんが新作「蟹」を出品。「最初はどうなることかと思いましたが、来てくれた皆さんに笑ってもらったので良かったです」と、手応えを口にした。

 近年はワンフェスでつげ義春、水木しげる両作家の立体化が目立つオデさん。今年2月の同イベントでは、ジオラマにも力を入れた「ねじ式−目医者ばかりじゃないか−」と、魂が目立つ「鬼太郎大百科−鬼太郎の戦いのひみつ−」と2つの新作を発表。「今回はふと人間はやめようと思った時、つげ作品の犬、すずめ、猿などと一緒に蟹が思い浮かびました。作中でラーメンをきざんで食べる蟹を想像するシーンがあるのですが、その蟹がとてもかわいく、以前から作りたかった事もあり、今回立体化する事にしました」と語った。

 オデさんは20年程前、愛読する大友克洋作品に登場する「ねじ式」のキャラクターに関心を持ち、つげ義春作品に初めて触れ、その魅力に取りつかれた。22年2月の同イベントでは「ねじ式」の主人公を出品し、つげ義春の息子である正助さんに会場で感心された。

 オデさんは石粉粘土を用いて完全アナログで造形を行う。原作では正面以外は小さめのカットばかり。実際のカニも参考にした。「簡単そうに見えるのですが、何度もチャレンジしました。最初はハサミをもっと前に突き出すような形でしたが、そうすると顔に影がかかってしまい、見栄えが良くない。最初よりハサミを前に出さないよう、バランスを考えながら調整するのが難しかった」と振り返った。

 今後も新たなつげ義春作品からのフィギュア化を構想しているというオデさん。「造形を行っていて、つげ義春さんの作品は話全体、1ページだけでなくて、1コマ1コマが素晴らしいと気付きました。1コマに対する見方が変わったことが今回の『蟹』につながったと思います」と話していた。

(よろず〜ニュース・山本 鋼平)

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