ちゃんみな「私の人生にはそれだけの価値がある」 過去と向き合ったツアーを完走…吐露した決意

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2日間で約1万8000人を動員、等身大のちゃんみなを体現

 世界が注目するトリリンガルのフィメールラッパー・ちゃんみなが28日、全国ツアー「AREA OF DIAMOND 2」追加公演のファイナルを神奈川・ぴあアリーナMMで開催した。スタートからラストまでちゃんみなが表現したかった世界観が凝縮された“ショー”となった。(文=中村彰洋)

 1月30日の東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われた同ツアーの本公演ファイナル後には、韓国・香港・台湾と初の海外公演を行ったちゃんみな。4月27・28日と会場の規模をぴあアリーナMMへと拡大しての、2daysでの追加公演が開催された。

 階段が設置されたメインステージにアリーナ中央まで伸びた花道、その先にセンターステージといったオーソドックスなステージ構成となったこの日。開演の定刻から遅れること数分、満員のファンがその時を待ちわびる中、会場が暗転すると、ピンクや紫、水色など色とりどりのダイヤモンド型のペンライトの光が客席を彩った。メインステージに置かれたピアノを照明が照らす。すると、白いドレスを着た少女が現れ、静かに観客が見守る中、クラシックの名曲『白鳥』を丁寧に奏でた。

 静かに少女がステージからはけると、再び暗転。荘厳なSEが流れ、メインステージ中央奥の階段裏から突如、巨大な貝殻が現れた。中からは真紅のドレスをまとった青髪のちゃんみなが登場し、『Baby』で幕を開けた。

 続いては、赤い照明に照らされながら生バンドをバックに『RED』を力強くパフォーマンス。サビのリズムに合わせて、ステージ前方からは炎が何回も上がるなど、迫力満点のステージとなった。

 センターステージまで移動したちゃんみなは続けざまに『I’m a pop』を披露。「Put your hands up」とあおると会場中がペンライトで呼応する。12人のダンサーがちゃんみなのバックに現れ、『Picky』ではキレのあるダンスも披露。ストレッチャーに乗り、ダンサーに運ばれるような形で、メインステージに戻るとメドレー形式で『Doctor』へとつないだ。

 ちゃんみなは「やっとこの日が迎えることができましたと同時にもう終わってしまうんだなっていう寂しい気持ち」と約5か月にわたるツアーの千秋楽であることをかみしめ、「何より2日間満員ありがとうございます!」と感謝した。そして、「全力で私も今日は挑んでいきたいと思いますので、みんなかかってこいよー!」と叫んだ。

 4人のバレリーナに扮(ふん)したダンサーがステージに登場すると『ルーシー』を披露。ラストでバレリーナが床に倒れ込むと、4人を残したままちゃんみなはステージから姿を消した。残されたダンサーがバレリーナの衣装とはギャップのある激しいダンスを披露すると、観客は大きな歓声を送った。

 ダンサーがセンターステージから降りると、メインステージには、ミュージックビデオさながらのカラフルでど派手な髪型(貴族ギャル)をしたちゃんみなとダンサーたちが登場。代表曲『B級』を刺激的な腰振りダンスとともにパフォーマンした。歌い終わると、ダンサーの衣装をイジり倒すちゃんみな。さらには「みんなのお尻ふりふりが見たかったの」とあおると、再びサビを歌いながらセンターステージへと移動した。

 続く『Period』では重厚なビートを刻む。楽曲終盤ではちゃんみなの顔がプリントされた“ちゃんみな紙幣”が大量に宙を舞った。続く『Wake Up Call』はメインステージに置かれたラグジュアリーなソファの上でパフォーマンス。4月26日に配信リリースされたばかりの新曲『FORGIVE ME』へとつなげた。ステージ両サイドのビジョンには英詩の和訳テロップも流れ、楽曲の世界観をより分かりやすく伝えた。

 MCでちゃんみなは『B級』の衣装について、「すごかったでしょ。生で見ると大きくない?」と紹介。「今日できっと使うことなくなると思うんで」と“見納め”を示唆すると、観客からは「え〜」の声が。「まだこする? まだ見たい?」と問いかけながらも「じゃあ倉庫にとっとくか」と保管することを約束した。さらに冒頭の貝殻についても「150キロあるんだよ」と説明し、驚かせた。

 また、「ちゃんみな初めてって人」と呼びかけると会場の3割ほどから「は〜い」の声が。ちゃんみなは「本当〜!」と喜びながら「初めまして〜。いらっしゃいませ〜」と笑顔を見せた。

 後半戦の幕開けは『BEST BOY FRIEND』と『Like This』のメドレー。男性ダンサーとの妖艶なダンスを披露し、会場を沸かせた。続く『FUCK LOVE』では、男性に正面から抱きかかえられながら熱唱する姿も披露。炎が舞い上がる中、絶妙な掛け合いを見せた。2人が急接近するたびに黄色い歓声が上がる客席。ちゃんみなが男性が着ていた白シャツを脱がしたり、ちゃんみなの衣装の肩紐をずらしたりと刺激的なパフォーマンスとなった。

 そのままステージは暗転。生バンドによる演奏が終わると、ダンサーが街の雑踏を行き交う人々に扮した姿で登場。ギターを抱えたちゃんみなが現れると、ステージ中央にあぐらで座り、弾き語りで『Biscuit』を披露した。日本語・英語・韓国語の3言語を織り交ぜた歌詞が特徴的な楽曲だ。その後も座ったままに『サンフラワー』とつなげ、力強く歌声を響かせた。

 ちゃんみなは、前回のツアーについて「みんなに自信を持ってほしくて、ポジティブなメッセージを届けたかった」と説明。今回については「『お前のことぜってー許さないからな』っていうのがテーマでした」と明かし、会場をどよめかせた。一方でツアーを通して「最終的にポジティブにしたくて」と胸の内に抱く葛藤などを明かした。

 さらに、自身の過去を振り返り、「次の曲は特に思い入れのある曲」と説明。過去の恋愛で悩んでいたときに「今別れる人よりこれから出会う人のほうが多いんだよ」という言葉をもらったことで考え方が変化したと明かしながら、2019年にリリースされた『Never Grow Up』を熱唱した。その後も『ボイスメモNo.5』『ハレンチ』と続け、観客も大合唱で応えた。

 そして「次はあなたたちの曲です」「精一杯歌えよ!」とあおりながら、『美人』を披露。会場中が大合唱しながら、ペンライトを激しく振りかざし、この日1番の盛り上がりを見せた。

 再びステージが暗転すると、ビジョンには、ピアノで『白鳥』奏でる白いドレスをまとった若き日のちゃんみなの姿が流れた。ライブ冒頭で登場した少女はこのちゃんみなを投影していたようで、“伏線”が回収された。

 そして、黒のキャミソールドレスに着替えたちゃんみながとスポットライトを浴びながらステージに戻ると、しっとりと『ダリア』を歌い上げた。

 ラストMCでは、同ツアーの構想を練っていた頃について「精神状態はとっても悪くて」と振り返った。さらに、いじめられていた学生時代や両親と対立していた過去を吐露。デビュー後も「ちゃんみなはヒップホップでもないし、ロックでもない」と批判の声を浴びていたことを明かし、「どうして私ばっかり」というマイナス思考に陥っていたと吐露した。そして、「私の中にいた幼い時の自分がどこかに行ってしまった気がして、その子を取り戻したくてこのショーを思いついたんです」と今回の演出の意図について説明。ツアーを完走したことで、「今まで経験してきたすべてのことを乗り越えただけ、今生きている私の人生にはそれだけの価値があるってことに気付いたんです」と感情を吐き出した。

「もっと大きいところにいくし、もっときれいな景色を見せられるように精一杯頑張ります。これからもどうぞよろしくお願い致します!」と頭を下げると客席からは温かい拍手が巻き起こった。

「次の曲は小さな頃の自分が私に書いた手紙だと思ってます」と語ると『Good』のイントロが流れ始めた。センターステージにはピアノが置かれ、サビ部分を弾き語りで披露。メインステージでも冒頭で登場した少女がピアノを弾いており、過去と現在がフラッシュバックするかのような演出となった。今ツアーでちゃんみなが表現したかったことが凝縮された瞬間となった。

 そして、ラストに選んだ曲は『太陽』だった。センターステージで熱唱するちゃんみなの頭上からは雨のように大量の水が降ってくるという驚きの演出。ずぶ濡れになりながらも熱唱する姿に観客の視線はくぎづけとなった。最後には愛おしそうにピアノを抱きしめ、一礼してステージを降りた。

 アンコールを求める観客は拍手や「ちゃんみなー」の叫び声で再登場を待ちわびる。鳴り止まない歓声に応える形で、今ツアーのグッズTシャツに着替えたちゃんみなが、「みんなありがとー」と『花火』を歌いながら登場。バックにはLED演出の花火がきれいに打ち上がった。

 さらに「みんな歌ってよ!」の呼びかけとともに『Angel』へと移ると、会場中が大合唱。サビではイヤモニを外し、客席にマイクを向けて、大観衆の歌声を存分に浴びていた。間奏では、この日のステージをサポートしたダンサーとバンドメンバーを1人ずつ紹介していった。

 正真正銘のツアーラスト。最後に選ばれたのは『TOKYO 4AM』だった。全員でおなじみの「TOKYO 4A.M.」の大合唱で大盛り上がりの中、全25曲(メドレー含む)にわたるパフォーマンスをやり遂げた。

 最後には、冒頭で大観衆を前に堂々たるピアノ演奏を披露した少女もステージに登場。10歳になったばかりとのことだが、「緊張したけどすごく楽しかったです。幸せでした」とお手本のような回答に、会場からは温かい拍手が巻き起こった。

 最後は全員で記念撮影。さらにマイクを通さずに3方向に向かって「ありがとうございましたー!」と生声で感謝を伝えた。最後は貝殻の中に戻り、「またすぐ会おうね」という言葉を残してステージ下へと姿を消した。

 ちゃんみな自身もMCの中で「ショー」と表現した2時間4分のステージ。演出やセットなど細部に至るまでライブの枠にとらわれることのない、斬新で新鮮味のあるステージで2日間え約1万8000人の観客を楽しませると同時に、等身大の今のちゃんみなを体現していた。

 ライブ終了後には、ちゃんみなが初めてプロデュースするカラーコンタクトのビジュアル映像が投影され、近日発売されることもサプライズ発表された。

◯「AREA OF DIAMOND 2」/2024年4月28日@ぴあアリーナMM
0.白鳥〜SE
1.Baby
2.RED
3.I’m a pop
4.Picky〜Doctor
5.ルーシー
6.B級
7.Period
8.Wake Up Call
9.FORGIVE ME
10.BEST BOY FRIEND〜Like This
11.FUCK LOVE
12.Biscuit
13.サンフラワー
14.Never Grow Up
15.ボイスメモNo.5
16.ハレンチ
17.美人
18.ダリア
19.Good
20.太陽
〜EN〜
21.花火
22.Angel
23.TOKYO 4AM中村彰洋

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