【ニュースシネマパラダイス】
どうも! 有村昆です。岸田内閣の閣僚が高額会食をしていると報じられ、批判を浴びています。総務省が公表した2022年分の政治資金収支報告書によると、岸田文雄首相と政務三役のうち10人が代表を務める政治団体で、飲食や会合名目で1件当たり10万円以上支払ったケースが計120件。首相の団体は懐石料理店に約90万円、高級中華料理店に約50万円などの支出があったとのことです。
セキュリティー問題もあり、首相が庶民的なお店に行くわけにはいきませんよね。ただ一番の問題は、岸田政権の支持率が危険水域と言われる30%以下に落ち込み、何をやっても文句を言われる状況にあること。自民党内からも批判が出ており、永田町は“ポスト岸田探し”に騒ぎ始めているようです。
跡目争いの人間模様は多くの歴史書物の中で語られてきました。そこで今回は現在公開中で、北野武監督の映画「首」を紹介します。たけしさんが自身の小説を原作に、本能寺の変を描いています。本能寺の変ってドラマや映画でも散々やってるんだけど、たけしさんが「オレだったらこう描くね」という独自の解釈と、たけしワールド全開の作品に仕上げています。
たけしさんって裏社会の男の生きざまを描き、大ヒットした「アウトレイジ」(2010年)のように、組織の中で生きる男たちの悲哀といった群像劇を描くのがとてもうまい。本作も本能寺の変を題材に男の嫉妬や裏切りを濃密かつバイオレンスに描いています。言うなれば戦国版アウトレイジです。
加瀬亮さん演じる織田信長は天下統一を目指し、毛利軍らと戦いを繰り広げている最中、家臣の荒木村重(遠藤憲一)が信長の横暴な振る舞いに耐え切れなくなり謀反を起こし姿を消します。信長は羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)ら家臣に自身の跡目相続をエサに村重の捜索を命じます。秀吉の弟・秀長(大森南朋)と軍司・黒田官兵衛(浅野忠信)の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されますが、光秀はなぜか村重を殺さずにかくまいます。そこには光秀と村重の秘めたる関係がありました。跡目を巡る男たちの思いが交錯するラストは劇場でご覧ください。
後継者争いは権謀術数うずまくもの。それは政治の世界だけではなく、サラリーマンの世界でも起こり得ることです。そこでどう立ち振る舞い、自分の信念とどう折り合いをつけるのか。いろいろ考えさせてくれる1本です。