EXILEをはじめ多くの人気グループが所属するLDHが、総合格闘技イベントを手掛ける。しかも会場は両国国技館。果たしてどのようなものになるのだろうか。
4月24日のビッグマッチ『POUND STORM』は、LDH JAPANによる格闘技イベント。LDHには格闘技・トレーニング部門の会社LDH martial artsがあり、ジム「EXFIGHT」の運営や選手育成などに取り組んできた。
プロ契約選手のオーディション『FIGHTER BATTLE AUDITON』を開催すると、その模様がABEMAで『格闘DREAMERS』という番組に。さらに新鋭選手のための大会『EXFIGHTシリーズ』をジムで開催してきた。そうして人材を育てた上で、両国国技館という大舞台での大会が実現する。
第2回『FIGHTER BATTLE AUDITON』を生き残った選手たちの試合に加え日本総合格闘技界で売り出し中の選手たちによるサバイバルマッチ、そしてLDHファイターである中村倫也、宇佐美正パトリックが世界への飛躍をかけて強豪に挑むメイン、セミファイナル。LDHのアーティストたちによるライブパフォーマンスも行なわれるコラボイベントとしても注目されるのが『POUND STORM』だ。
ここでは、大会の中でもとりわけシビア、かつ期待度の高い2試合の見どころを紹介したい。
“総合格闘技の申し子”が超格上相手に世界への道へ
中村は第1回『FIGHTER BATTLE AUDITON』合格者だが、実はオーディション開催以前からLDHとの選手契約が決まっていた。それでも一般参加者と同じ試練を味わい、乗り越えてプロデビューを果たしている。
レスリング出身で、U23世界選手権優勝。オリンピックを狙っていた正真正銘のエリートだ。しかし中村は、もともと総合格闘家志望。総合をやるためにレスリングを学んできた。父が修斗のジムのオーナーで、中村も幼少期からジムを遊び場にし、後楽園ホールで試合を見てきた。レスリングで活躍しながらも「早く総合をやりたい」と思っていたそうだ。
それだけに、実際に総合に転向するとオールラウンドな実力を身につけた。修斗でプロデビューすると、初戦はなんとハイキックでKO勝利。2戦目も開始直後に飛びヒザ蹴りを放ってきた相手をパンチで迎撃し、倒している。指導する高谷裕之(LDH martial arts代表取締役CEO)曰く「まだ本当の実力を見せていない」。
そんな中村がプロ3戦目にして両国大会のメインに登場。初の国際戦に挑む。相手のアリアンドロ・カエタノはブラジルのグラップラーで、キャリアは30戦23勝。戦績、試合経験で中村とは大きな差がある。カエタノはUFCと契約間近とも言われている。
普通であれば組まれることのない相手。勝てるとは言い切れない危険なマッチメイク。なぜ運営側はそんな試合を組んだのか。中村が目指すのがUFCの頂点であり、そのためには相手を選んでなどいられないからだ。むしろ強い相手を選んでいかなければならない。
そして何より、彼には格上のブラジル人に勝ってもおかしくないだけのポテンシャルがある。レスリングの強さに加え打撃、グラウンドでの絞め技・関節技。その能力をフルに発揮すれば、カエタノに勝つことも不可能ではないはずだ。自分の生まれ育ち、総合格闘技の申し子としての運命を感じてもいると、中村はデビュー前から語っていた。
「格闘技をやることには使命感すら感じます。レスリングからMMA(総合格闘技)に来る選手はたくさんいますけど、僕はMMAと向き合ってきた年月が違う。それはイコール、MMAへの思いの違いです。僕はMMAで勝つためにレスリングをやってきたんで」
その思いは、カエタノ戦でも強力な武器になるはずだ。
ボクシング高校6冠のホープは元修斗王者に挑む
大会コメイン(セミファイナル)では、デビュー3連勝で修斗世界10位にランクされる宇佐美正パトリックが、同ランキング1位で元環太平洋王者の大尊と闘う。これもキャリアに大きな差があるチャレンジだ。
ただパトリックは並の新人ではない。プロ3戦のうち2試合がKO。レスリング出身の中村に対し、パトリックはボクシングでオリンピックを狙える位置にいた。高校時代6冠を達成してもいる。
オリンピック出場は逃したものの、そこから総合格闘技という新しい夢に向かって走り出した。目指すは世界の舞台、そして育ててくれた父にチャンピオンベルトをプレゼントすることだ。
パンチの実力は一級品。組み技に関しても成長著しい。総合力で勝負できるからこそ、軸である打撃も光る。
「心の折れた顔を見ながら殴って倒す」
記者会見で大尊が言えば、パトリックもこう返す。
「パンチ一発当たれば倒せる」
打撃戦必至の対戦。パトリックにはLDHファイターとしてのプライドもある。ABEMA『格闘DREAMERS』で配信された『FIGHTER BATTLE AUDITON』を突破して契約を果たすと、彼はこう語った。
「ジャンルは違いますけど、LDHは格闘家も凄いって、誰が見ても分かるような試合をしなきゃいけない。それが恩返しだと思ってます。僕は『格闘DREAMERS』に夢をもらったので」
格闘技とは互いの夢の潰し合い。勝てば夢がさらに大きくなる。パトリックにとってこの試合は試練だが、それは同時に大チャンスだ。
▼FIGHT CARD▼全10試合
【バンタム級】
アリアンドロ カエタノvs 中村 倫也
【ライト級】
大尊 伸光 vs 宇佐美 正 パトリック
【フェザー級】
山本 健斗デリカット vs 河名 マスト
【バンタム級】
風間 敏臣vs 齋藤 奨司
【ウェルター級】
グンター カルンダ vs エフェヴィガ 雄志
【ライト級】
マックス ザ ボディvs オーディン
【ミドル級】
岩﨑 大河 vs 三上 ヘンリー 大智
【フェザー級】
狩野 優 vs 中村 京一郎
【フェザー級】
スソン vs 宇佐美 秀 メイソン
【バンタム級】
海飛 vs 鈴木 崇矢
【出演アーティスト】
PKCZ(EXILE MAKIDAI、DJ DARUMA、ALAN SHIRAHAMA)
EXILE SHOKICHI
GENERATIONS from EXILE TRIBE
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE
MIYAVI
■『POUND STORM』概要
【第1部】
LDH「FIGHTER BATTLE AUDITION」最終選考を兼ねた5試合を開催。 立ちはだかるプロ格闘家を倒して、LDH所属契約を勝ち取るための闘い。夢への第?歩を踏み出せるのか!!
【第2部】
格闘技界注目の若手選手が出場する3試合を開催。未だ負けなしの強者、元レスリング世界王者などが集結。これからの活躍が期待される者たちによる闘い。次のステージに昇るのは誰なのか!!
【第3部】
プロデビューから快進撃を続ける中村倫也と宇佐美正パトリックの2試合を開催。世界への挑戦に向けての試金石となる大注目の闘い。二人はどこまで夢を叶えていけるのか!!
※記事中の「高谷裕之」の「高」の字の表記は、正しくは「はしご高」