【J1広島】「キツい」大けが乗り越えた川村拓夢に期待

 ガチャッ。

 乾いた音がした。気づくと、若者が倒れていた。仲間達が心配そうに見つめていたが、彼は立つこともできない。スタッフに両肩を支えられ、川村拓夢は練習場を去った。

 3月22日、練習中の接触プレーで負傷した川村は広島県内の病院に搬送された。診断結果は左膝外側側副靭帯損傷。全治は2カ月。

 愛媛FCでの3年間で実績を残し、広島で結果を残すために今季、戻ってきた。3月2日のルヴァンカップ対名古屋戦では満田誠のプロ初得点をアシスト。持ち前のボール奪取能力に磨きをかけ、3月2日に合流したミヒャエル・スキッベ監督に力をアピールしようと取り組んでいた矢先の大ケガだった。

「ケガで2カ月の離脱は初めて」と川村は言う。当初は歩くにも松葉杖が必要で、歩を進めるだけで痛かった。リハビリも厳しい。

 だが、心は決して、挫けてはいなかった。広島ユース同期の大迫敬介や満田誠の頑張りが、大きなモチベーションになったからだ。

 「ケイスケやマコの能力は高いし、ずっと努力している姿をキャンプでも見ていたから、活躍も当然。彼らの姿を見て、自分も頑張ろうと思えたんです」

 さらにもう一つのモチベーションは、スキッベ監督が表現しているサッカーだ。

 「チームがしっかりと勝てていたことは本当に嬉しかった。それに、すごく面白い。こういうサッカーを自分もやりたい、早くこのチームでプレーしたいという気持ちが大きくなってきたんです」

 チーム練習に合流したのは5月23日。「すごくキツかった。ただ、思ったよりは出来たかなとは思います」と若者は手応えを口にする。スキッベ監督も「状況次第では近いうちにメンバーに入ってきてもおかしくない」と大きな期待を口にした。

 ボールが奪え、試合をつくることもできるし、得点もとれる。大器・川村拓夢がスキッベ監督の指導に触れてどんな化学反応を起こすのか。考えただけで、心が躍る。(紫熊倶楽部・中野和也)

 川村拓夢(かわむら・たくむ)1999年8月28日生まれ、22歳。広島市出身。サンフレッチェのユースを経て2018年、トップチーム入り。守備力、得点力を兼ね備えた大型MFで、19年から3年間、期限付きの移籍で愛媛FCに。183センチ、72キロ。利き足は左。

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