【高校野球】呉、夏の聖地初出場へ中村捕手“祖父孝行”を

 「第104回全国高校野球選手権・広島大会」(7月9日開幕)

 昨夏8強入りした強豪・呉が夏の甲子園初出場を目指す。今春の県大会で4強入り。準決勝で広陵に敗れたが、伝統の堅守は今年も健在。その守りの中心は中村信彦監督(67)の孫にあたる中村爽太郎捕手(3年)。安定感ある守備力と粘りの打撃を武器に、祖父と一緒に聖地を目指す。

 毎年、夏の県大会で上位に駒を進める呉。堅い守備力で失点を防ぎ、個々が役割を果たす攻撃が真骨頂だ。中村監督は「ウチは安定した守備力を持っている。少し面白くなってきたかな」と不敵に笑う。伝統の“市呉野球”は今年も健在だ。

 その堅守を支える一人が指揮官の孫にあたる爽太郎だ。昨夏から試合経験を積み、不動の扇の要へと成長する。昨年までは下位打線だったが、新チームからは1、2番を任う。「しっかりとした守りで投手を引っ張ること。上位を打っているので(中軸に)つなげられるように」と攻守両面での夏のテーマを掲げた。

 春の県大会準決勝では広陵に8−13で黒星を喫した。四回までに10失点。中盤は一時2点差まで迫ったが、序盤の失点が響いて敗れた。今大会でも優勝候補の大本命に挙げられる広陵。その打力を痛感できたことは収穫にもなる。「もっと内角や高め、低めと相手打者の目線をズラすことが足りなかった、と思う。粘って競っていけば勝てると思う」と対策に言及しつつ、相手の背中を視界に捉える試合展開を描いた。

 グラウンドでは「監督」、家に帰れば「おじいちゃん」という間柄。ただ「怒られたことはない」と意外な事実を明かす。中村監督は「誰よりも真面目。一生懸命やるから、皆が認めている」と日々努力を積んでチームに欠かせない存在になった孫に目尻を下げた。

 2017、19年にはセンバツ出場。いずれも初戦敗退だったが、17年は安田(ロッテ)を擁する履正社に0−1と大健闘。19年も市和歌山と延長十一回の激戦を演じた。今年は投手力も安定し、打線も4番・西野悠朔外野手(3年)を中心に勝負強さを備えている。学校として初となる、夏の選手権大会出場へ態勢は整いつつある。

 練習後、監督と孫は一緒に帰宅する。その際、爽太郎は何気ない監督の言葉を聞いて甲子園への思いをより強めている。「『投手がしっかりすれば、今なら甲子園に出られる』と、ほぼ毎日言われている。目標は甲子園に行くこと」。最後の夏、3年間の集大成。おじいちゃんへの恩返しが、いよいよ始まる。

◆攻撃の中心・西野、好機は「自分が」

 〈呉〉攻撃の中心は4番を打つ西野悠朔外野手(3年)だ。「春を戦って、広島県でも戦える位置にいると思った。チャンスなら自分が(走者を)かえさないと」と中軸の自覚を強めた。中村監督は3番の川岡龍聖内野手(3年)の名前も挙げ「今年に入って川岡、西野がチャンスに強い」と成長ぶりを頼もしく感じ取っていた。

 中村爽太郎(なかむら・そうたろう)2004年9月18日生まれ。東広島市出身の17歳。177センチ、73キロ。右投げ右打ち。捕手。乃美尾小4で野球を始め、黒瀬ジュニアを経て、黒瀬中では呉昭和シニアに所属。呉では1年秋からベンチ入り。好きなプロ野球選手は巨人・小林。

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