1回戦4試合が行われ、鳴門(徳島1位)が高知(高知2位)を撃破。エース左腕の冨田遼弥投手(3年)が9回4安打、10三振を奪う快投で完封勝利を手にした。高松商(香川2位)と松山商(愛媛1位)の伝統校対決は高松商に軍配。また明徳義塾(高知1位)、英明(香川1位)も初戦を突破した。
春のセンバツで1勝した高知打線を冨田が圧倒した。
力強い直球と得意とするスライダーのコンビネーションがさえ、五回まで二塁を踏ませず。試合中盤には自己最速を2キロ更新する144キロを記録した。その後は走者を出しながらも要所を締め、秋の四国大会決勝で敗れた相手へのリベンジを果たしたが「終盤に変化球が甘くなったり、ストレートが高くなったりしたので、もっと鍛えていきたい」と、冨田の自己評価は厳しかった。
甲子園では優勝した大阪桐蔭に初戦で敗れたものの、8回3失点完投。その後圧倒的な強さを見せた大阪桐蔭を、結果的に最も苦しめた投手となった。「インコースの真っすぐとスライダーの投げ分けができたら、大阪桐蔭でも抑えられる」と、大きな自信を得たが、一方で「相手が打ち損じていた部分もある」と、決して慢心もしていない。
打線は初回、四球からチャンスを作ると5番・藤中温人内野手(3年)の2点適時打で先制。四回にも1点を加えたが、その後は無得点に終わり、森脇稔監督(61)は「淡泊。点が取りきれない」と渋い表情。主将の三浦鉄昇内野手(3年)も「冨田が粘ってくれたが、重い試合になってしまった」と反省を口にした。
今大会、選手たちは「絶対に優勝する」と言い合っているという。勝利への執念を養い、春夏連続の甲子園出場を果たすため、さらなる高みを目指す。
◆高知、主力欠き0封負け
故障などで複数の主力を欠いた昨秋の四国王者・高知は、無念の零封負け。九回には1死一、二塁のチャンスを作って意地を見せたが、主軸にあと一本が出なかった。浜口佳久監督(46)は「やることを徹底できないと打ち崩せない。同じミスをしているのは課題」と厳しい表情。2番手の日野灯外野手(3年)が5回2/3を無失点に抑えるなど収穫もあったが、夏へ向けて再出発を図る。