【全文掲載】「見世物にして母親に圧力かける狙い」福原愛さん側が元夫側に再び反論

卓球女子のオリンピックメダリストである福原愛さんの元夫で、台湾代表だった元卓球選手の江宏傑氏(34)7月27日に会見し、福原さんに対して、日本に連れ帰った長男を引き渡すよう求めた件について、1日午後、福原さんの代理人弁護士が新たな声明を発表した。

江氏側が公衆の面前で、子どもの母親である福原さんに対し「未成年者誘拐罪で告訴する」選択肢も検討すると発言したことなどについて「親権をめぐる私的な問題を劇場的な見世物にしてひたすら母親に圧力をかけるのが狙いであるかのよう」と批判している。

全文は以下の通り。

家庭裁判所が出した審判前の保全処分については、その内容、直ちに効力が発生すると規定されている執行についても、日本の法律上さらに裁判所で争う手段が認められています。

現段階で公衆の面前で裁判所の判断を云々することは時期尚早ではないかと存じます。

また、ことのいきさつの全てについては、台湾の法律、日本の法律上、そして何よりもお子さんたちのために外部に公表できないことがたくさんあります。

台湾に残されているもう一人の家族のこと、離婚協議の内容、離婚の原因については台湾の法律によって外部に漏らすことを認められておりません。

もちろん日本の法律の上でも、お子さんたちのプライバシーは守られるべきです。

その一部を切り取って他方を非難することは容易です。

しかし、メディアという非常に強い権力を用いて特定の人物を攻撃することによって、被害者に回復しがたい重大な損害が発生する可能性があることについては、十分に慎重な配慮がなされるべきではないでしょうか。

福原愛さんはもとより、小職ら福原愛さんの代理人弁護士も、日本の法律にも台湾の法律にも粛々と従う所存です。

また、小職は、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(いわゆるハーグ子奪取条約)上の事件において、連れ去った側、連れ去られた側、父親、母親、日本人、外国人のいずれの依頼者のためにも事件を受任しております。

どの事件も非常に個別性が高く、家族の問題においては、それぞれの立場に理由があり、善悪を一刀両断に決めることは非常に困難です。

とくに国境を跨ぐ事件の場合は、法律の違い、文化、言語の違いがありますからなおさらです。

大渕代理人も江宏傑氏ご自身も、小職の事務所の電話、ファックス、電子メールをご存知です。

例えば、過去にお子さんが熱を出したときには「一時的な発熱ですから心配なさらないように」と小職から江氏にご連絡を差し上げました。

今回の江氏の来日については、ご本人からも代理人からも何のご連絡もなく、突然、記者会見を開かれたことに大変驚いております。

記者会見の中で、大渕代理人が、昨年8月にでた福岡地裁の判決を引用しておられましたのでその判例を調べてみました。

本件とは事実関係が全く異なっており、福原愛さんの行為がその判例により刑法犯に該当する余地は全くありません。

大渕代理人は「このケースとどこが違うのか、あとは実際理由がどうなのかなどについてはもちろん争いがあると思いますし、明確に犯罪であるという認定を受けたのではありませんので私の方から、違法な連れ去りだということは断定することは致しません」と、一応の前置きをしておられます。

しかし、メディアに出て大きな社会的な影響力を有しており弁護士の肩書きがある方がこのような言い方をされれば、一般社会では、福原愛さんが犯罪を犯したのではないかという誤解をされることは容易に予想できたことに思われます。

大渕代理人は、記者会見で「福原愛さんは世界卓球WTTのゼネラルマネージャーを務められたり、日本の上場企業の社外取締役を務められたり、国内外において活躍をされています。そういった立場の方が、このような行動をして良いものかということは、問題提起すべき事項であるというふうに考えております」と明言されています。

勤務先を名指ししたこの発言は、明らかに、福原愛さんがこうした役職から解かれるように公開で仕事先に圧力をかけて、福原さんを社会的に葬ろうとしているように見受けられます。

問題は、家族の問題であり、お子さんたちの福祉、最善の利益を考えるべき問題です。

メディアにおいて大きな影響力を有してらっしゃる大渕代理人に比べれば、福原さんは、一母親であり一方的に攻撃を受ける社会的な弱者であり被害者です。

その中で必死になってお子さんたちのプライバシーを守ろうとしています。

そのような福原さんをメディアに晒しものにするのではなく、家族の問題は、粛々と両国の司法制度の枠の中で、また話し合いをすることによって、解決をすべきであるように思われます。

大渕代理人と江宏傑氏は、今後、お子さんを引き渡さなければ福原愛さんを「未成年者誘拐罪で告訴する」選択肢も検討するとおっしゃっておられました。

その場合、江氏は、父親として、台湾におられるもう一人の家族の母親でもある福原さんを告訴することになるわけです。

大渕代理人と江氏が選択肢として御検討されている「未成年者誘拐罪の犯罪事実」をどのようにお考えなのか、江宏傑氏には、是非とも犯罪事実を具体的に明らかにしていただきたくお願い致します。

江氏と福原さんは、共同親権を有しております。

江氏は、共同親権というものは、一方の親が他方の親に対して、刑事罰の行使を仄めかして実現すべきものとお考えなのでしょうか。(なお、本件においては福原愛さんに刑事罰の対象になる事実関係は全くありません。)

男性と女性は、家庭内において種々の要因により力の差がある場合があります。

共同養育については、父母の合意がなければ、お子さんの最善の利益の実現は不可能です。

力の差により合意形成ができない場合には、さまざまな紛争解決手段が存在します。

そのような紛争解決手段によるのではなく、本件のように、父親が、公衆の面前において、家族の紛争の一部を切り取り、一方的に曝け出して母親に対して攻撃を続けることをどのように考えるべきなのでしょうか。

そうではなく、離婚をされたにせよ、父親として、お子さんたちとのことを最優先し、愛情深く接し、家族を守っていただきたいと切に願います。

今回の記者会見により、福原愛さんとお子さんに対して、メディアによる深刻な人権侵害、恣意的な社会的制裁が発生しております。

このような重大な人権侵害は見過ごすわけにはまいりません。

江宏傑氏がご子息との面会を真にご希望されるのであれば、面会交流調停を申し立てられれば、基本的に試行面会が実施されることになりますので、まずは、調査官立ち会いのもとにご子息に面会することもできたはずでした。

この1年間、そのような申立てはありませんでした。

突然の記者会見、刑事告訴の示唆といった振る舞いは、親権をめぐる私的な問題を劇場的な見世物にしてひたすら母親に圧力をかけるのが狙いであるかのように見えます。

面会交流調停を申し立てなかった経緯を振り返れば、ご子息との面会を希望してきたという江氏の主張の一貫性にも疑問がぬぐえません。

誠実で公正な話し合いは、信頼関係を基盤として成り立ちます。

まずはお互いの信頼関係の回復が最も重要だと思われます。

皆さまにおかれましては、今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

以上

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