「リリィ=ズニーシャ説」はどこまで信ぴょう性があるのか?
大人気マンガ『ONE PIECE』では、かつてルフィたちと旅をしたアラバスタ王国の王女「ネフェルタリ・ビビ」が、ルフィと同じ「Dの一族」であることが判明し、大きな反響を呼んでいます。
そしてキーパーソンになりそうなのが、約800年前のアラバスタ王国の女王「ネフェルタリ・D・リリィ」という人物です。世界貴族の最高位に立つ「イム」とも深いかかわりがあったと見られています。
そのリリィについてファンの間では、巨大なゾウの「象主(ズニーシャ)こそがリリィではないか」といった説が飛び出し、さまざまな議論が交わされているようです。以下、「リリィ=ズニーシャ説」の可能性について、あらためて掘り下げます。
ズニーシャとは「ゾウ編」に登場した巨大なゾウで、大昔に罪を犯したために海上を歩き続けることしか許されていない存在です。信じられないほどの巨体と長寿を誇り、その背中には、ミンク族と呼ばれる獣人が「モコモ公国」という国を築いています。そのズニーシャの正体が「リリィ」といわれている理由とは一体、何なのでしょうか。
まず、リリィもズニーシャと同様に「罪を犯した」と思われる点が大きく関係しています。コミックス107巻の第1085話で、イムは「Dの一族」について「『D』とは…かつて我々が敵対した者たちの名だ」と明かしました。
そのうえで、現在「Dの一族」を名乗る者たちが台頭していること、学者たちが「空白の100年」について知ろうとしていることなどは、「800年前のリリィ女王の大失態に起因している」という発言がありました。どうやら「リリィ女王のミス」によって「歴史の本文(ポーネグリフ)」が世界中に散らばってしまったようです。
続けてイムは「『歴史の本文』の解放が本当にミスだったのか…それとも計画的だったのか…」とも語っており、リリィの行動は本当にミスだったのか疑念を抱いている様子でした。どちらにせよ、イムの口ぶりから、リリィのしでかしたことは世界政府にとって相当、都合が悪く、大罪にあたりそうなことが伝わってきます。
このリリィの大失態があったのは800年前のこと、そしてズニーシャが罪を犯したとされるのも800年前のことでした。その奇妙な一致から、リリィがゾウの姿に変えられ、罰として海を歩き続けているという説がささやかれているのです。
光月家との密接な関係性も共通点?
また、両者(リリィ&ズニーシャ)と光月家の密接な関係も共通点として挙げられます。
第818話のなかで、光月家は代々「歴史の本文(ポーネグリフ)」を作る石工の技術を持っていることが明かされました。「歴史の本文」を作った光月家と、「歴史の本文」を世界にばらまく力ないし立場があったと見られるリリィとの間には、何らかの深い関係性があったと考えたほうが自然です。
一方、ズニーシャと意思疎通を図れるのも、「光月モモの助」だけという事実があります。「光月家とリリィ」「光月家とズニーシャ」の関係性は、単なる偶然の一致なのでしょうか。もし「リリィ=ズニーシャ」だとすれば、光月の一族である「モモの助」とだけ意思疎通が図れたのもある程度、理解ができます。
しかし、この「リリィ=ズニーシャ」説には、疑問に感じる点もあります。ズニーシャを最初に見たときのルフィやローたちの会話のなかで、背中にある「モコモ公国」は1000年近い歴史があると語られていました。
ズニーシャが罪によって歩くことしかできなくなったのは800年前のことなので、それ以前は普通のゾウとして生活していたはずです。寝そべったり、水中に入ったりすることも考えられます。そのような不安定なズニーシャの背中に、果たしてミンク族は国を築けたのでしょうか。
もし、そのあたりまで考慮するならば、もともとモコモ公国は1000年前に別の場所で建国され、ズニーシャが歩くことしかできなくなってから背中に移転したとすれば一応、整合性はとれます。
そのほかにも、リリィについては、バーソロミュー・くまの食べた「ニキュニキュの実」の前任者だったという説や、バギーの「バラバラの実」の前任者説、光月トキの「トキトキの実」の前任者説なども存在するようです。
これだけ多くのうわさが飛び交う謎めいたリリィについて、本編でさらなる真実が語られる日はくるのでしょうか。今後の展開から目が離せません。