マンガの扉絵にさり気なく描かれた「重大な事実」とは?
『ONE PIECE(ワンピース)』では、マンガの本編だけでなく、扉絵などの細かい部分で重要な情報が公開されたこともあります。パッと見ただけで伝わるものから、しっかり細部まで見ないと気付かないヒント的な描写もあって、読者を楽しませる、ひとつの要素ともいえるでしょう。
そうした、マンガの扉絵のなかでさり気なく明かされた「重大な事実」に絞って振り返ります。
第614話の扉絵は、「世界の甲板から Vol.2 フーシャ村」というタイトルでした。2年間、行方不明になっていた「麦わらの一味」の復活を知った村人たちが祝杯を挙げ、海賊嫌いの村長は相変わらず怒っている場面が描かれています。
そして、その中央にはフーシャ村の酒場の女店主「マキノ」の姿が大きく描かれており、その腕に赤ん坊を抱きかかえているのです。
この赤ん坊は「いったい何者なのか?」と謎でしたが、コミックス63巻の読者コーナー「SBS」で、「マキノさんも母親になったというわけです」と尾田先生が回答していました。
ルフィにとって姉のような存在だったマキノに赤ちゃんが生まれたという重要なトピックスが、あっさり扉絵で明かされたことも驚きですが、「父親は誰なのか?」という点も気になります。ちなみに尾田先生は「あの人かなー。あの人だろうなー」とごまかしていて、その口ぶりから既に登場しているキャラのようにも思えます。
続いては「Mr.2(ボン・クレー)」に関する、衝撃の事実が発覚した扉絵です。
ボン・クレーといえば、インペルダウン編の終盤で、ルフィたちが乗った船を外海に逃がすために監獄に残り、「マネマネの実」の能力でマゼランのフリをして「正義の門」を開かせたシーンが印象的です。
ひとり取り残されたボン・クレーに逃れるすべはなく、勝てないと分かりながらもマゼランに立ち向かったところで話は終わっています。ボン・クレーの尊い犠牲に、多くの読者が涙した感動的なシーンでした。
そのような、誰もが死んだと思っていたボン・クレーの生存が、唐突に第666話の扉絵で明らかになります。「世界の甲板から Vol.46 インペルダウン LEVEL5.5番地ニューカマーランド新女王ボン様」というタイトルの扉絵には、監獄内で元気そうなボン・クレーの後ろ姿が描かれていたのです。
ルフィには「エース」と「サボ」という義兄弟がいて、エースはマリンフォード頂上戦争で死亡し、サボは幼い頃に天竜人に船を撃沈されて死んだと思われていました。
しかし、ドレスローザ編の第731話でルフィと再会を果たし、サボは生きていたことが判明します。ところが、実はそれより前のパンクハザード編の扉絵で、こっそりとサボの生存を示唆する描写がありました。
第668話の「世界の甲板から 最終回 白ひげとエースの墓」と名付けられた扉絵に描かれていたのは、白ひげとエースの墓が並んだ風景です。そのエースの墓前をよく見ると、酒ビンの隣に三つの盃が置かれており、「麦わらの一味」の復活を報じる新聞記事らしき紙が貼られていました。
彼ら三人が義兄弟の盃をかわした事実を知っているのは、当人たちだけのはずです。この段階でルフィがエースの墓を訪れるはずがないので、必然的にサボが生きていることになり、墓参りをした事実が浮かび上がります。
このようにマンガの本編だけでなく、扉絵の細かい描写にまで情報が隠されていることがありました。こうした、ちょっとしたヒントをもとに想像を膨らませられるのも、『ONE PIECE』らしい楽しみ方といえるかもしれません。