『ブルー きみは大丈夫』が北米No. 1スタート!超豪華ボイスキャストの集結で、夏を代表するファミリームービーになれるのか

『ブルー きみは大丈夫』が北米No. 1スタート!超豪華ボイスキャストの集結で、夏を代表するファミリームービーになれるのか

孤独な少女と“空想の友だち”の出会いを描く『ブルー きみは大丈夫』が北米1位発進

(MOVIE WALKER PRESS)

サマーシーズン前半は各メジャースタジオの期待作が立て続けに公開されているものの、まだずば抜けて大きな成果は出ていない。現状で2024年公開作の最高オープニング興収は『デューン 砂の惑星PART2』(日本公開中)の8250万ドルであり、このまま5月中に1億ドルを超えるオープニング成績をあげる作品が登場しなければ(コロナ禍の2020年と2021年を除き)10年ぶりの出来事なるが、はたして。

先週末(5月17日から19日)の北米興収ランキングは、「クワイエット・プレイス」シリーズのジョン・クラシンスキー監督の最新作『ブルー きみは大丈夫』(6月14日日本公開)が初登場で1位を獲得。ホラー映画で大ブレイクした監督がファミリームービーを手掛けるというのはなんとも意外ではあるが、俳優としても活動するクラシンスキー監督はファミリー向けアニメでの声優経験も多数。作り手としてもその素養を発揮する格好の機会といえよう。

ケイリー・フレミング演じる孤独な13歳の少女ビーが、子どもにしか見えないという“空想の友だち”のブルーと出会い、ライアン・レイノルズ演じる大人なのになぜかブルーが見える隣人と共にブルーの新たなパートナーを探すという本作。週末3日間の興収は3370万ドルと、4000万ドル前後のオープニングになるとみられた事前の予測をわずかに下回るスタートに。ここ最近の傾向を踏まえれば決して悲観するような数字ではないが、1億ドルを超える製作費がどこまで回収できるかが大きな課題となる。

劇中に多数登場する“空想の友だち”のボイスキャストがとにかく豪華であり、クラシンスキー監督の妻でもあるエミリー・ブラントを筆頭に、ブルー役のスティーヴ・カレル、ブラッドリー・クーパー、マット・デイモン、ジョージ・クルーニー、サム・ロックウェル、ブレイク・ライブリーにマヤ・ルドルフ、エイミー・シューマー、オークワフィナ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、そして先日亡くなった名優ルイス・ゴセット・ジュニア。これだけの面々がユニークなアニメーションキャラクターを演じていることもあってか観客からの評判はかなり上々。

近年はこうしたファミリームービーがじわじわとヒットを飛ばし、オープニング成績から予測される興収を大きく上回るヒットを記録するというケースが少なくない。例えば昨年の『マイ・エレメント』(23)も、初夏公開で2960万ドルと芳しくないオープニング興収ながら最終的には1億5000万ドルの興収をあげている。本作もそのような興行になるのではないかと期待されているが、そのためには次週末に公開される『The Garfield Movie』とのファミリームービー対決が避けられないだろう。

一方、ファミリームービーはどうしても平日の成績が伸び悩んでしまうもの。土日の成績では前週1位スタートを飾った『猿の惑星/キングダム』(日本公開中)に大きくリードした『ブルー きみは大丈夫』だったが、平日に入った途端、両者のデイリー興収での差はわずか10万ドルと肉迫。水曜日のデイリー興収では『猿の惑星/キングダム』の方が首位に立つことに。ちなみに『猿の惑星/キングダム』は週末段階で北米累計興収1億ドルを突破。こちらも強力なライバルが増える前に少しでも多く興収を積み上げておきたいところだ。

そして3位にはレニー・ハーリン監督の新作ホラー映画3部作の第1弾『The Strangers: Chapter1』が初登場。初日から3日間で興収1182万ドルと事前の予測を上回り、すでに額面上では製作費を回収済みなのだが、批評家からも観客からも酷評の嵐。かつては『ダイ・ハード2』(90)などの人気作を手掛けたものの、『ザ・ヘラクレス』(14)での大失敗によってこの10年は中国やヨーロッパで細々と新作を発表してきたハーリン監督。本格復活はまだまだ遠いようだ。

文/久保田 和馬

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