本作で⻄島、斎藤⼯、⽟城ティナ、宮川⼤輔、三浦友和が演じるのは、全員互いに素性を明かさないという強盗組織の⼀員。彼らはヤクザ組織の資⾦洗浄現場を狙い、⼤⾦強奪の⼤仕事に成功するも、組織から追われることになる。
元ヤクザでいまは家族との平穏な暮らしを望む安⻄幹也役の⻄島は「⼤森監督作品での俳優部の皆さんが⽣き⽣きとしている様⼦を⾒て興味があった」と以前からオファーを待ち望んでいた様⼦。
本作への参加については、「若⼿からベテランまで、それぞれの世代の俳優による群像劇だったので楽しみでした」と充実した表情で語った。
政治家や上流層へ反旗を翻し、裏仕事を仕切る浜⽥役の三浦も「ヤクザものでも任侠ものでもないが、それらを上回るくらいのバイオレンス!いままで⾒たことのないような映画になりました」と手応えを口にする。
ラブホテルの従業員で事件に⼤きく巻き込まれていく⽮野を演じた宮沢氷⿂は「これまで演じたことのないようなタイプのキャラクターでしたが、作品の内容的にも⾃分が出たいと思える挑戦的な作品でした」と語った。
続いて、ヤミ⾦業者からの借⾦の取り⽴てに追い詰められる美流役を演じた⽟城も「いまの時代に合っているストーリー。セリフに⾃分の⼼が持っていかれそうになったのは初めて」と役柄に共鳴。美流を全⼒で擁護する彼氏、武藤役の宮川⼤輔は「共演者の⽅々の名前を⾒たときに光栄すぎて『すげー︕』となりました」と抜擢を喜んでいた。
『⽇⽇是好⽇』(18)、『MOTHER マザー』(20)、『星の⼦』(20)などの深い⼈間ドラマを⼿掛けてきた⼤森監督は、⾃⾝初のクライムサスペンスについて「これまでとは違う群像劇をやってみようかという流れで企画が進んだ。アクションだったり、アメ⾞だったり、ピストルだったり、⾃分がカッコいいと思ってきたものが詰まったバイオレンス作品が撮りたいと思った」と語った。
本作は大森監督が「昔からの知り合いで戦友」という⾼⽥亮のオリジナル脚本で、『さよなら渓⾕』以来約9年ぶりのタッグとなった。また、初タッグとなる⻄島について⼤森監督は「⻄島さんはバイオレンス映画に出たいとおっしゃっていたし、⾃分で作品やキャラクターに線引きをしている感じがない。撮影では⾃分を超えていこうという気配すら感じた」と絶賛する。
その⻄島を筆頭に、豪華なキャスティングが実現したが「それぞれの年代でカッコいい⼈が⾒たいと思った。それぞれのキャラクターには居場所がなく、そんな⼈たちがいがみ合っている。ある種、現代の縮図を抜きだしたような映画にしたかった」と狙いを明かした。
元ヤクザ、ハングレ、ダーティな警官など、登場⼈物のキャラや背景も多岐にわたっている本作について、⼤森監督は「調⼦に乗っていろいろな俳優に出てもらって…疲れたぁ(笑)」とポツリと漏らして会場の笑いを取った。
また、大森監督はインパクトの強いタイトルについては「残酷な世界にサヨナラという、内容とは逆説的な意味もある。⾔葉の響きも好き。いろいろと案を出しましたが、オリジナル作品ですから、タイトルをつけるのも醍醐味」と喜⾊満⾯で、「難しく考えず、俳優たちの姿や⾳楽、物語を含めて素直に楽しんでほしい」とアピールした。
文/山崎伸子