■灰原をねらう「黒ずくめの組織」
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は、全世界での累計発行部数が2.7億部を超える大人気コミック「名探偵コナン」の劇場版シリーズ第26作。舞台となるのは、世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐため八丈島近海に作られた海洋施設「パシフィック・ブイ」だ。施設での不穏な動きを感じ取ったコナン(声:高山みなみ)が内部に潜入するが、ほどなく女性エンジニアが誘拐されてしまう。さらに、阿笠博士(声:緒方賢一)らと八丈島旅行を楽しんでいた灰原哀(声:林原めぐみ)にも魔の手が…。施設と灰原をねらうのは「黒ずくめの組織」。彼らの目的、そして、コナンたちとの対決の行方は?
■国際的に大規模な犯罪を行う「黒ずくめの組織」とは
メンバーのプロフィールの前に、まず組織そのものに触れておこう。「黒ずくめの組織」は、国内外で暗躍する大規模な犯罪組織。メンバー全員が黒い衣服に身を包んでいるためにそう呼ばれるが、正式名称は不明。メンバーには酒やカクテルのコードネームが付けられているのが特徴である。原作の第1話で、取引現場を目撃した工藤新一(声:山口勝平)にジンが毒薬「APTX4869」を飲ませて口封じを謀っているが、殺害するつもりがなぜか子ども化してしまい、結果としてコナンが誕生することになった。新一にとって組織は因縁の相手であり、組織にとっても犯罪計画を妨害するコナンは邪魔な存在というわけだ。ちなみに、コナンの仲間である灰原もかつて組織に所属しており、研究者”シェリー”として「APTX4869」の開発に携わっていた。
■実行部隊のリーダーを担う幹部、ジン
新一に「APTX4869」を飲ませた張本人であるジン(声:堀之紀)。数々の犯罪に関わってきた実行部隊のリーダーで、 “あの方”と呼ばれる組織のボスとも直接連絡を取り合える幹部である。その人物像は聡明にして冷酷無比。鋭い観察力と洞察力で状況を判断し、組織の障害となる者は容赦なく排除してきた。メンバーのなかでは登場回数が多く、部下のウォッカ(声:立木文彦)と共に行動するシーンが頻繁に見られる。ちなみに、新一のことは“毒殺した”と思っており、コナン=新一であることにはまだ気付いていない。
■“千の顔を持つ魔女”と呼ばれる、ベルモット
“あの方”のお気に入りであるベルモット(声:小山茉美)。表向きはハリウッド女優のシャロン・ヴィンヤード、現在はその娘であるクリス・ヴィンヤードとして活躍している。女優としてのスキルが組織の任務にも生かされており、特に情報収集力と変装術はメンバー随一。新一の母、工藤有希子(声:島本須美)とは知り合いで、コナンになる以前の新一や蘭(声:山崎和佳奈)とも面識がある。コナンと灰原の正体に気付いているが、なぜか組織には報告していないようだ。
■息のそろったスナイパーコンビ、キャンティ&コルン
腕利きのスナイパーコンビ。直情的で過激な言動が目立つキャンティ(声:井上喜久子)と、冷静で口数が少ないコルン(声:木下浩之)。人物像こそ対照的な2人だが、数々の任務でペアを組み、息の合ったコンビネーションを見せている。共に仲間意識が強く、ある事件でスナイパー仲間のカルバドスを見殺しにしたベルモットを毛嫌いしている。
■ベルモットの秘密を知る“探り屋”、バーボン
“探り屋”として暗躍するバーボン(声:古谷徹)。しかし、その正体は組織に潜入している公安警察の降谷零。組織内ではベルモットと一緒に動くことが多く、“あの方”とベルモットの重大な秘密を握っているらしい。コナンとは協力関係にあり、事件の際には互いに情報を提供し合うほか、時に共闘することも。また、毛利小五郎(声:小山力也)に弟子入りしながら喫茶店でアルバイトをする私立探偵、安室透としての一面もあり、「トリプルフェイス」を持っている。
■二重スパイとして暗躍するCIAの諜報員、キール
組織に潜入しているCIAの諜報員で、本名は本堂瑛海(声:三石琴乃)。以前は人気アナウンサーの水無怜奈として素顔を隠していたが、ある事故のあとに退職。その事故をきっかけにコナンやFBIの捜査官ともつながるようになり、現在は組織の情報を流すなどして彼らをサポートしている。父親もCIAに所属していたが、組織に正体がバレそうになった娘を助けるために自殺。スパイを始末した功績で“あの方”に認められ、コードネームを与えられたという過去を持つ。
■ほかの幹部も一目置く最高幹部、ラム
ラム(声:千葉繁)は、ボスの側近にして組織のNo.2に君臨する最高幹部。大半の幹部が直接会ったことはなく、唯一面識があるとされるジンでさえ逆らうことができない大物だ。片目が義眼であること以外に有力な手掛かりはなく正体は謎とされていたが、毛利探偵事務所の隣にある「米花いろは寿司」の板前、脇田兼則と判明。『黒鉄の魚影』では、そんなラムの右腕であり、その素顔もまた謎に包まれているピンガが初登場する。
■正体は謎に包まれたままのボス、“あの方”
組織のボス。基本的に表舞台には出ないが、幹部やメンバーの動向には常に監視の目を光らせており、不穏な動きがあれば躊躇なく始末するという非道ぶりを見せる。正体は半世紀も前に非業の死を遂げた大富豪だとされているが、作中では現在もボスとして幹部に指示を出している場面が描かれており、真実は謎のまま。
■「黒ずくめの組織」とコナンの因縁の対決の行方は…
「黒ずくめの組織」のメンバーが続々と登場する『黒鉄の魚影』。緊迫感に満ちたストーリーと同様に、彼らの仕事ぶりや何気ない会話にもぜひ注目してほしい。そして、ボスである“あの方”についてもたびたび示唆されており、コナンたちとの対決も新たなフェーズを迎える予感!?「黒ずくめの組織」の暗躍から、ますます目が離せない!
文/ほそいちえ