山口県美祢市にある国内最大級のカルスト地形・秋吉台の地下に広がる秋芳洞(国特別天然記念物)の壁面が緑色に変色している問題で、市は今月下旬にも、繁殖した藻類などの除去・抑制作業を試験的に始める。来年度まで方法を変えながら効果の検証を続け、将来の維持管理に向けた指針の作成を目指す。(小林隼)
市によると、秋芳洞は年間50万人が訪れる人気の観光地。2011年に観光用の照明を全てLED(発光ダイオード)化した後、観光コースとして公開されている約1キロの範囲で藻類や細菌類の繁殖が目立つようになった。
洞内の見どころの一つ、高さ約15メートルの巨大な「黄金柱」周辺は特に変色が目立つ。
景観の悪化が指摘されるようになり、市は19年度に専門家による対策委員会を設置。約3年間かけて藻類などの種類の特定や、除去・抑制手法を検討してきた。今年3月、対策委から光の制限や流水による洗浄、薬剤散布といった提言を受け、実行するために必要な文化庁の許可も7月に得ることができた。
市は今後、複数の手法を試し、24年3月頃に結果をまとめる方針だ。
一方で、一連の作業が秋芳洞に生息するコウモリや、固有種のクモに悪影響を及ぼす恐れもある。市の担当者は「周辺環境への影響を確かめながら、効果的な対策を見極めたい」と話している。