第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、ALSOK特別協賛、囲碁・将棋チャンネル、立飛ホールディングス、森永製菓、富士フイルム協賛)で3連覇と大山康晴十五世名人を超える新記録となるタイトル戦20連覇を果たした藤井聡太王将(21)は第4局から一夜明けた9日、東京都立川市で記者会見し、「持ち時間8時間で(居飛車対振り飛車の)対抗形の将棋はこれまで経験がなかった。中盤戦の押したり引いたりが長い展開でじっくり読みを入れて指すことができた、収穫のあったシリーズだった」と語った。
昨秋に8冠完全制覇を果たした最強の居飛車棋士の藤井王将に、最強の振り飛車棋士である菅井竜也八段(31)が挑む「最強対決」として注目された王将戦は、4連勝のストレート決着となった。印象に残った一手に第1局の4五歩を挙げ、「長い中盤戦が続く中で、自分から崩れずに粘り強く指せたところはよかった」と振り返った。
今年度成績は41勝6敗(未放映のテレビ棋戦除く。勝率8割7分)。伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける棋王戦五番勝負は、異例の持将棋(引き分け)スタートとなっている。年度内はこのほか、準決勝に進出している2棋戦を残す藤井王将は、中原誠十六世名人(76)の年度最高勝率(1967年度。47勝8敗、勝率8割5分)という新たな大記録の更新が懸かっている。休む間もなく10日は、東京都内で5回目の優勝を目指す朝日杯将棋オープン戦の準決勝・決勝に臨む。【丸山進】