「過去にケリつける」〝顔面凶器〟の小沢仁志、映画「BAD CITY」公開

「過去にケリつける」〝顔面凶器〟の小沢仁志、映画「BAD CITY」公開

「BAD CITY」では主演、脚本、製作総指揮を手掛けた小沢仁志(石井健撮影)

(産経新聞)

「BAD CITY」(園村健介監督)は、「顔面凶器」「Vシネマの帝王」など物騒な異名を持つ小沢仁志(60)が主演と脚本、製作総指揮まで務め、アクションにこだわった痛快作だ。「俺らがやっているのは、規模こそ違えども、トム・クルーズと一緒」。どすの効いたしゃがれ声で小沢が、アクションに懸ける熱い思いを語る。

大浴場。裸の男たち。背中には彫り物。賊が侵入する。湯気の向こうで上がる血しぶき。映画は刺激的に幕を開ける。

「出だしが、かっこいいよね。主人公が満を持して登場するまでの間に、誰が悪者なのか基本的なことが分かる。余計な説明なしに。テンポもいい。主人公の紹介は、『ただの獣です』の一言。無駄がない」

小沢が演じる主人公は、ある事情から服役中の元刑事、虎田誠だ。街を牛耳る巨大財閥の会長を検挙するため復帰し、反社会組織やマフィアと壮絶なバトルを繰り広げる。

映画のうたい文句は「ケリをつけてやる。」だが、小沢自身、主演し、プロデューサーも務めた映画「SCORE」(平成7年、室賀厚監督)にまつわる思いにケリをつけるため、これを作った。

「『SCORE』は、アクション作品として出来栄えには自信があったが、興行的には振るわなかった。そして、その後、日本ではアクション映画が作られなくなった。俺らのせいなのかもしれないという、じくじたる思いで30年近くを過ごしてきた。俺も還暦。キリがいい。ここらで、その思いにケリをつけようじゃないか」

「SCORE」では派手な銃撃戦を見せたが、物量では米ハリウッドどころか、いまや韓国映画にも勝てないと判断し、今回は肉弾戦を中心に据えた。アクション場面を、すべて俳優自身がこなすことで画面から緊迫感がにじみ出るようにした。

小沢自身のアクション場面については、段取りすら決めず、「本当に相手をぶちのめすつもり」で完全なアドリブで格闘しているのだという。

「見ている人は、『あれ? これ、〝マジ〟でやってんじゃねえ?』と思うはず。マジに近いところでやっているんです。アクション演技の修羅場をくぐり抜けた俳優同士だからこその意思疎通により、相手の拳を必死にかわしている」

出演作品は300本以上。その多くでアクションもこなしてきた小沢ならではの発想だが、自身の手本は、喜劇王、チャールズ・チャップリンだという。

「チャップリンは、ろくな安全対策もなかった時代に、階段から落ちるなど命がけで観客を笑わせた。俺も、チャップリンと同じことをやっている自負がある。規模は違えどもトム・クルーズとも一緒だと思っている」

当初、体力に懸念もあったが、「楽勝だった」と笑う。

「俺、まだできるな。古希で、これ、やってたら化け物か。でも、トムは、やりそうじゃない? トムとは同い年なんですけど、向こうは今度、宇宙で撮影するって? どうあがいても、そこにはたどり着けねえな」

かたせ梨乃、リリー・フランキー、壇蜜、坂ノ上茜らが共演。(石井健)

20日から全国順次公開。1時間57分。12歳未満の鑑賞は、保護者の判断が必要。

おざわ・ひとし 昭和37年生まれ、東京都出身。テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」で俳優デビュー。「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ、「太陽が弾ける日」「25 NIJYU−GO」など多数の映画に出演。今回、OZAWA名義で製作総指揮と脚本を手がけたが、過去には同名義の監督作品もある。YouTubeチャンネル「笑う小沢と怒れる仁志」を配信中。

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