「私の夫と結婚して」でライジングスターに!ナ・イヌ待望のジャパンファーストファンミーティングをロングレポート

今年の韓国ドラマの中でも最大級のヒットシリーズ「私の夫と結婚して」。復讐に燃える強かな女性ジウォンを演じたパク・ミニョンも話題を呼んだが、彼女を力強く支える一途な上司、ジヒョク部長を演じたナ・イヌの虜になった方も多いのではないだろうか。4月20日、そんな彼の待望のジャパンファーストファンミーティング「2024 NA IN WOO Japan 1st Fan Meeting」が開催された。

■念願の日本初ファンミーティング!1曲目に込められた幼いころの想い
暗転した舞台でもくっきり浮かび上がる高身長に歓声が上がるなか、力強いサウンドに乗り歌い出したのは、世界的ロックバンド、レディオヘッドの「Creep」。ミュージカル「僕らのイケメン青果店」で芸能界デビューしただけあり、ロングトーンの音程も全くぶれない。

歌唱力を証明したところで、大好きだというピカチュウのケースをつけたスマホを取り出し、翻訳機Papagoで今の気持ちを通訳する。「私は皆さんにお会いできて嬉しいです。私と友達のように接して気楽に楽しんでください。私たちには明日がないかのように遊びましょう!」というユニークな言い回しに、会場から笑いが漏れる。さらに、イントネーションが完璧な日本語でも「はじめまして、私はナ・イヌです。今日はよろしくお願いいたします」と続けると、感貨客から大きな拍手が巻き起こった。初めてのファンミーティングも2日目ともなると緊張が解けてきたようで「だんだん良くなってきたように感じます!」と自信をのぞかせる。

「この曲は歌詞に共感できるので」という「Creep」は、自虐的な少年の告白がつづられた深いラブソングだ。「いまは少し良くなってるんですが、僕は子どものころ、自己肯定感がすごく低かったんですよね。ギターのメロディも良くて、皆さんにぜひ聞いていただきたかったんです」。これまでもファンミーティングで、韓国から数多のスーパースターが歌声を披露してきたが、この選曲はなかなか珍しい。ファンの間ではロック好きで知られているそうで、間奏でエアギターをかき鳴らしてご機嫌だ。元々JYPエンターテインメントの練習生だったそうだが、バンドマンも夢だった、というのもうなずける。

日本には以前、2022年にASIA ARTIST AWARDSの授賞式で名古屋を訪れている。ところが思い出は「ない…」(日本語)ととても残念そう。「名古屋に着いてすぐに授賞式があって、そのステージの後1泊し、すぐに帰るスケジュールでした。そのときは時間が無かったので、こうして日本でファンミーティングができて、本当に嬉しいです。本当に楽しい!」と、念願の日本に喜びを爆発させる。

■“ジョンチャン”から“ナ・イヌ”へ…スターダムへの軌跡を振り返る「ナ・イヌの人生グラフ」
スタートは、俳優ナ・イヌの成長ストーリーを辿る「ナ・イヌの人生グラフ」コーナーから。今やドラマにバラエティにと大活躍のナ・イヌが、自らのキャリアの転換点を探ってみる。ナ・イヌは光州出身、1994年9月17日生まれ。2015年「輝くか、狂うか」では髭を生やしたワイルドなルックスの護衛騎士セウォンを演じる。このときはまだ、本名の“ジョンチャン”での出演だった。

「でもジョンチャンだと、少し発音がきつく聞こえてしまうんですよね。僕に気楽な気持ちで近づいてほしいので親しみやすい名前はないかなと、“イヌ”にしたんですね。日本のファンの皆さんが翻訳機を使われると、“イヌ”の部分が…(犬の物真似をしながら)と翻訳されることもあって。“犬さん、お元気ですか?”というメッセージをくださるのが面白いですよね(笑)」。

2020年から2021年には、さらに人気が急上昇。「哲仁王后〜俺がクイーン!?」のビョンイン、「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」のオン・ダルと時代劇が続く。

「時代劇への出演は、特に困ったことはなかったですね。最初にうまく慣れてしまえば、あとは自然にできるものなんですね」とさすがの適応力だ。とはいえ、会場にも「ここで沼落ち!」という声も上がっていたように、ヒロインの相手役となるオン・ダルの辺りから確実に人気が出てきたナ・イヌ。寝る暇もないほどの忙しさで、こんなハプニングも起きた。

「撮影をしている途中、眠くて気絶してしまったんですよ。ちょうど矢に当たって倒れるシーンだったんですが、ちょっと目を閉じてから開けるまでの数秒間、記憶が全く消えていました(笑)。ところが相手役の俳優さんからは『今の演技じゃなかったの?』と言われましたね」。

そしてついに2024年、「私の夫と結婚して」へ出演。大きなターニングポイントを迎えたドラマについて、ナ・イヌはこう振り返る。

「台本がおもしろくて、きっといい作品になるだろうなと思っていました。皆さんがキャラクターに違和感なく没頭してもらいたいです。誰が見てもこれはユ・ジヒョク、または誰が見てもこれはオン・ダルだと言うように、“このキャラクターらしく見えるべきだ”と役作りをするように努力しています」。

■クールなジヒョク部長の素顔は愛され末っ子?お茶目なナ・イヌにファン歓喜
続いて「ナ・イヌの書き換えプロフィール2024」のコーナー。過去のインタビューやポータルサイトの情報を参考に、アップデートされた内容を加筆して“第3のプロフィール”を作成する。昼の公演とも違う内容になっているそうで、ファンを飽きさせない趣向が盛り沢山だ。

気になるのはあだ名の欄。韓国のファンはナ・イヌのことを「준비된 바보(準備された馬鹿)」を略して「준바(ジュンバ)」と呼ぶそうだ。韓国語の「바보(バカ)」は日本語とは若干ニュアンスが違い、親しい人への愛情表現のような意味合いがある。これは「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」でのオン・ダルというキャラクターに由来する。韓国の有名な昔話「ピョンガン王女と馬鹿のオンダル」をモチーフにして作られたドラマで、オン・ダルはバカがつくほど純朴な青年だ。ナ・イヌが彼をあまりに自然に演じていたことから、ファンが愛情を込めて呼んでいるそうだ。するとここでナ・イヌから「日本のファンの方々にも作っていただきたいです!」とお願いが飛ぶ。様々な案が上がるも、やはりここは“部長”に決定。この後しばしば「部長!」とコールが起き、ナ・イヌがシリアスな表情で「何?(日本語)」と返事をするやり取りが生まれた。

特技が「肉を焼くこと」というのも興味深い。「韓国には末っ子文化というのがありまして、一番年下の子が甲斐甲斐しくセッティングしたりすると周りが喜んでくれるんです。僕もよくお肉を焼いていたので、実力はすごいんです」と胸を張るナ・イヌ。ファンミーティングの最中も、自分よりも年上のMC古家正亨氏に対し末っ子の表情で茶目っ気たっぷりに振る舞う様子が実に微笑ましかった。相手の懐にスッと入る屈託の無さ、そして謙虚さ。クールなジヒョク部長も素敵だが、愛され末っ子キャラというこれまで知らなかったナ・イヌの新たな魅力を発見した。

そうした人間ナ・イヌの魅力と共に、俳優としての情熱を感じさせる一幕もあった。今後演じてみたいキャラクターとして、『ひまわり』(2006)でキム・レウォンが演じた主人公、ヤクザのテシクを挙げると、「ネタバレしてごめんなさい!」と平謝りするほどディテールまで熱弁。心から作品に惚れ込んでいることが伝わってくる。俳優になれたのは「好きなことを頑張っていたらチャンスに恵まれた」と話していたが、演技への熱意とたゆまぬ努力があったからこそ、人気スターの一人に躍り出たのだろう。

■「私の夫と結婚して」のあのシーンも!ファンのときめきが止まらない名場面再現コーナー
「これまで僕が弾いてきた曲の中で一番難しい曲」と、緊張した面持ちで披露されたのは、またもやロックの王道、オジー・オズボーンの「Mr. Crowley」。今回の来日で購入したばかりのギターを携え、ジャケットにダメージジーンズという先ほどとは打って変わったコーディネートで登場し、完璧なギターテクニックを披露。ギャップでさらにファンを魅了する。

春らしいピンクと白グラデーションで織られたニットに着替えて再登場し、第二部がスタート。続くのはファン垂涎の名場面再現コーナーだ。抽選で選ばれた観客の方を相手に、ドラマ「私の夫と結婚して」の中の、ジウォンに銃の手ほどきをするシーンや、「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」でヒロインを満面の笑みで抱き留めるコミカルなシーンを“共演”する。「最初は少し緊張している感じで、そして最後は決意に満ちた眼差しでお願いします!」「(緊張のあまり放心状態のファンの方へ)そう!その表情がいいですね!」と熱血演技指導。ファンが繰り返し観て何度も心をときめかせた瞬間を本気で再現するナ・イヌの姿に、ステージ上のファンは有頂天。会場からは絶えず悲鳴にも似た歓声が沸き起こる。

ナ・イヌはとにかくファンサービスが惜しみなく、またふとした瞬間に細やかさが垣間見える。フォトタイムはもちろん、舞台で一緒にコーナーを盛り上げてくれたファンとのツーショットチェキ撮影の後は、必ずエスコートしてお見送り。「MISSION DICE」のコーナーでは、ファンの願いを叶えるため真剣にミッションに挑み、望みに応えて笑顔でバックハグ。ステージから遠い二階のファンへの気配りも忘れない。一人残らず笑顔で満足してもらいたいという、心からのファンへの愛情が伝わる。

「日本のファンの方と一緒に歌いたくて」と最後に選んだ曲は、2000年代のJ-POPを代表するORANGE RANGEの名曲「花」。「夢みたいに君と出会えた奇跡」は、まるでナ・イヌとファンの出逢いそのものを指しているようだ。ペンライトの光が、ファンの思いも乗せて感動的に会場を包む。

「いい時間と思い出を作ってくださって、どうもありがとうございます。忘れません」という温かな言葉で締めくくり、幸福な時間が幕を閉じた。

取材・文/荒井 南

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