【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。先月、ネッシーがすむとされる英国のネス湖で半世紀ぶりとなる大捜索が行われ、調査結果が発表されました。最新の探索機器を導入し、2日間にわたる大捜索を行いましたが、ネッシー発見には至りませんでした。いや〜残念! しかし今後も捜索は継続するということなので、ロマンは続きます!
ネッシーの発見はでき
ませんでしたが、今回は英国王室の歴史を覆す大発見をした女性を描く映画「ロスト・キング 500年越しの運命」(2023年)を紹介します。本作は、500年以上にわたり行方不明だった英国王リチャード三世の遺骨が、12年に英レスターのとある駐車場から発掘された事実を基に描かれています。遺骨を発見したのが歴史学者ではなく歴史愛好家の主婦。なぜ、主婦がそんな大発見をすることができたのでしょうか。
サリー・ホーキンス演じるフィリッパ・ラングレーは会社員として働きながら2人の息子を育てる主婦です。フィリッパはすぐに疲れてしまう筋痛性脳脊髄炎の持病があったが、会社からはヤル気がないと思われ、不当な評価を受けます。夫とも別居中で、職場と家庭でも疎外感を抱いていました。
そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピアの「リチャード三世」を観劇し、人生が一変します。英国史上最も冷酷で非情な王として悪名の高いリチャード三世は脊椎湾曲症だったことで、不当な外見的差別を受けていたのではないかと思うようになります。そこでリチャード三世の真の姿を証明するためにフィリッパは独自に調査を始めるのです。
リチャード三世は1485年のボズワースの戦いで戦死し、遺骨は川に捨てられたと考えられてきました。しかし、フィリッパは遺骨を発見することで埋葬されたことを証明しようとします。識者からは懐疑的な目を向けられ、理解されませんが、自身の直感を信じて行動し、大発見をすることに…。本作は22日から公開なので、ぜひ劇場でご覧ください。
常識を疑うことは難しいですが、常識が可能性を狭めることもあるのではないでしょうか。本作は、時として常識を疑う勇気も必要だと感じさせてくれる一本だと思います。
☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のアリコンch」で紹介している。