「リトル・マーメイド」ディズニー映画から感じる時代の変化

【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。実写版映画「リトル・マーメイド」が公開され、全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)で2週連続1位になりました。累計動員は96万9000人、興行収入は14億6700万円を突破しています。

 一方で主人公のアリエルをアフリカ系女優のハリー・ベイリーが演じたことで「ポリコレを意識し過ぎている」といった声もあり、ポリコレ論争が起きています。ポリコレとは「ポリティカル・コレクトネス」の略で、差別的な表現をなくし政治、社会的に公正で中立な表現をしていこうという動きです。

 そこで今回は「リトル・マーメイド」を通じてポリコレについて考えてみたいと思います。物語は美しい歌声を持つ人魚のアリエルが掟によって禁じられた人間の世界に近づき、嵐に遭ったエリック王子を助けます。王子と恋に落ちたアリエルは人間世界へのあこがれを抑えられなくなります。そんなアリエルに海の魔女アースラが近づきます。アリエルは3日間だけ人間の姿になれる代わりに美しい声をアースラに差し出すという取引をしてしまうんですね。

 ディズニー不朽の名作をロブ・マーシャル監督が実写化。アニメの影響もあり、アリエルは白人というイメージが強く、ハリー・ベイリーが演じることに戸惑いの声が上がるのも理解できます。

 僕が見てびっくりしたのは、アリエルのお父さんであるトリトン王役を白人のハビエル・バルデムが演じているですよ。6人のアリエルの姉役も全員、人種が違う。さらにエリック王子(白人俳優のジョナ・バウアー=キング)のお母さん役もアフリカ系女優のノーマ・ドゥズウェニが演じているんです。

 家族なのに人種が違うってどういうこと?って思ったんですけど、ハリー・ベイリーさんの歌唱力がそんなことどうでもいいよねと思わせてくれるぐらい素晴らしい!「アリエルは白人の女の子にしかできないよね」という人種による固定概念を変えてくれました。史実映画だと違和感がありますが、ファンタジー映画ならアリだと思います。そして批判を覚悟のうえで新しいことにチャレンジしようというディズニーの強い意志を感じました。

 最近のディズニー作品はポリコレを意識し過ぎたキャスティング、ストーリー構成になっているという意見もあります。ディズニーは過去作をただ実写化するだけだったら面白くない。新しい解釈、新しい要素を入れたいという思いがあるのではないでしょうか。新しいことを始めると批判の声があって当然です。そうやって常識は変わっていく。ディズニー映画で時代の変化を感じてみてはいかがでしょうか。

☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。

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