<※以下、ネタバレ有>
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
第41話は「逆襲の三成」。徳川家康(松本潤)の決断により、石田三成(中村七之助)は近江・佐和山城に隠居。大坂城・西ノ丸に入り、政治を意のままに行う家康は周囲から天下人と称されていた。茶々(北川景子)は苦々しい。ある時、会津の上杉景勝(津田寛治)に謀反の噂が広がる。家康は天下泰平のため、茶々から上杉征伐に向かうべきだと諭されるが、大坂を離れることに一抹の不安。留守を鳥居元忠(彦右衛門)(音尾琢真)に預けることに…という展開。
天下分け目の「関ヶ原の戦い」(慶長5年、1600年)の起点となった「会津征伐(上杉征伐、会津攻め)」が描かれた。
大谷吉継(刑部)(忍成修吾)が三成の三男を自軍に加えようと佐和山城を訪ねると、「大一大万大吉(だいいち・だいまん・だいきち)」の家紋が入った具足をまとった三成の姿。
吉継「やめておけ!」「無理だ!内府殿は、お主を買っておる!共にやりたいと申された」
三成「今しかない」「徳川殿のことは、当代一の優れた大将だと思うておる。だが、信じてはおらぬ。殿下の置目を次々と破り、北政所様を追い出して西の丸を乗っ取り、抗う者はとことん潰して、政を思いのままにしておる」「否!すべては、天下さん奪のためなり!野放しにすれば、いずれ豊臣家は滅ぼされるに相違ない!それでいいのか?家康を取り除けば、殿下のご遺言通りの政を成せる。今度こそ、我が志を成してみせる!刑部!正しき道に戻そう!」――。
床下からは、大老たちを味方につけるための金塊。吉継は「どこから出た。まさか、大坂?」。ほくそ笑む茶々――。三成は吉継の茶を飲み干し「伝染して治る病なら、私に伝染せ!」――。その後、毛利らの軍勢が阿茶局(松本若菜)のいる大坂城に押し入った。
三成、挙兵。総大将は毛利輝元(吹越満)。「逆賊、徳川家康を、成敗いたす!」(三成)。茶々は三成たちと盃を交わし、叩き割った。
吉継は「ハンセン病」(らい菌という抗酸菌による慢性の感染症。主に皮膚、末梢神経が侵される)を患っていたとされる。三成は大坂城で茶会が催された際、他の武将が嫌がる中、吉継の後に回し飲み茶碗を受け取ると、気に留める様子もなく飲み干したというエピソードがある。
今作は2人の友情逸話を巧みにアレンジ。SNS上には「大谷刑部の膿が落ちたお茶を一気飲みするエピソード。ここできたか!友情で胸が熱くなった(涙)」「今日は刑部殿に心奪われた。情勢の見極めもできる賢さと真心。でも、病人である自分の飲みかけの器に口をつけて飲み干す治部を前にしては、何も言えなくなるよね。泣けた。理屈じゃない」「忍成修吾さんの目の演技が素晴らしい。大谷吉継公は義と友情に生きる」「三成に同じ椀から飲まれたら、どんなに不利だろうが、刑部は三成に付く。理屈じゃないんだ。代え難い男同士の友情なんだ。この椀の演出は巧いなぁ」「天下泰平を目指しているだけの家康も三成から見ればただのさん奪者という双方の視点の違いを、大谷刑部を通して描くという流れが非常に秀逸だった。家康派だった刑部が三成に付く決め手を、飲みかけの茶を飲むエピソードと絡めるのも巧い」などの声が上がった。
次回は第42話「天下分け目」(11月5日)が放送される。