(左から)石丸幹二、柄本明さん
柄本明さんは、28歳で劇団東京乾電池を結成。座長として多くの舞台に立ちながらも、話題の映画やドラマにも出演。唯一無二の存在感で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、紫綬褒章など数々の賞を受賞されています。
◆志村けんとの芝居は「怖い」
石丸:私、以前に志村けんさんと柄本さんが食堂で即興劇をやられている映像を観たことがあるんです。すごく面白かったんですけど、あのお題はどちらが出されたんですか?
柄本:志村さんです。もちろん、即興の部分もあるんですけど、台本はちゃんとあるんですよ。ただ、志村さんとの仕事は怖かったですね(笑)。
石丸:(笑)。でも僕は拝見していて、柄本さんが志村さんを凌いでいたような気がしたんですけれども。
柄本:いえいえ。志村さんとのお仕事は何本かやらさせていただきましたけど、本当に毎回怖かったです。
石丸:それは、どういう“怖さ”ですか?
柄本:一応、台本は志村さんがちゃんと作るんですよね。だけど、志村さんは朝から出ずっぱりですから、(ネタ合わせも)昼食や夕食の空いている時間に僕が志村さんの楽屋に行ったり、志村さんが僕の楽屋に来たりしてちょっと合わせるだけで、それで後は本番ですからね(笑)。
石丸:ネタ合わせ1回くらいで本番ですか!?
柄本:台本を2〜3回読んで「じゃあ、こんな感じで」と。だから僕、志村さんとは(仕事以外で)ほとんど口をきいていないんですよ。
石丸:えっ!
柄本:のべ30〜40年出させていただきましたけど、本当に「おはようございます」と「お疲れさまでした」くらいです。
石丸:その当時のスタイルなんですかね?
柄本:どうなんですかね、志村さんもシャイな方だから。
石丸:あの方も、あまりお話にならないと伺いますが。
柄本:若い女の子には、からかったりしていますけどね(笑)。
石丸:(笑)。じゃあ、特に芝居の話をするわけでもなく、現場だけでトンッとやって。
柄本:そうですね、だから怖いですよ〜(笑)。“くだらない”という言葉が正しいかどうか分からないけど、くだらないことをやっているわけじゃないですか。それで笑ってもらえなかったとしたら……。
石丸:それに、当時は生放送が今より多かったじゃないですか。
柄本:収録だとしても“生”ですからね。一発勝負ですから、怖い怖い。
石丸:でもそれは、ある意味楽しい作業でもありましたか?
柄本:そうですね、だからありがたいですよね。
石丸:僕ら最近の俳優は、そういうものに強くないというか、打たれ弱い人が僕も含めて多いと思うんですけど、当時は“現場が育てる”という風潮だったんですかね?
柄本:そうですね。もちろん“ピリピリした雰囲気”というわけじゃないけども、真剣勝負でしたね。それで、(志村さんには)かなわないんですよね。(お芝居を一緒にすると)“かなわない”ということが本当に良く分かるんですよ。
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9月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年9月17日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Grand Seiko THE NATURE OF TIME
放送日時:毎週土曜 12:00〜12:25
パーソナリティ:石丸幹二
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/nature/