吉本新喜劇の“小さなレジェンド”池乃めだかが、79歳の誕生日を迎えた3日、大阪・なんばグランド花月(NGK)で、史上最年長座長公演に臨んだ。めだかは28日から4日までのの今週NGK上演分で座長週を務め、この日の誕生日で、最年長の自己記録を更新。サラリーマン生活から漫才を経て、33歳で入団した遅咲きのレジェンド。その肝は「なにクソ」精神だ。
花月旅館を舞台にした今公演で、めだかは施設員の設定。威張ったかと思えば泣く。149センチと小柄だが圧倒的な存在感で、ほぼ似た背格好の山田花子と押し合うなど、健在ぶりをアピールした。
「ありがたいことに、ほんま、いいんかな? とね。他にもいっぱい頑張ってる人おるのに、年が上やからいうだけで」
終演後、内場勝則(61)山田花子(47)とともに取材に応じためだかは、照れながら「座長公演」への思いを口にした。
めだかは10代から勤めた会社を辞め、20代で故海原小浜さんに師事。グループ活動時代は「毎日、リーダーからやめろと言われてた」と振り返る。それでも意地を通し、人気姉妹コンビ海原やすよ・ともこの父と漫才コンビを組んだ。が、解散。新喜劇へ入った。
当時は、花紀京さん、岡八郎(当時)さんら全盛で、「毎日、毎日、子役ばっかり。セリフも二言三言ぐらいでね。やめよっかな? と思ってた」。それでも、舞台中は先輩の芝居運びや演技の間を、舞台袖から盗み、何を客が喜ぶのか、ずっと考えていた。
だが、その後、木村進さん、間寛平らの若手が頭角を現し、めだか寛平の「猿猫」コンビで人気が出た。
「残っててよかったな、思いましたよ」
谷底が続いた時代、つねに「なにクソ」との負けん気があった。80年代後半の世代交代キャンペーンも乗り越え、新喜劇に残った。かつて「辞めろ、はいそうですかってなるわけない。どんな新喜劇を作るんか、中におって(残って)見たろ思った」と話したことがあるが、ここでも、小さな体からあふれる「なにクソ」精神があった。
この日の取材でも、趣味のゴルフをめぐって、その精神へ言及。「昔はゴルフ行っても、うまいこといかなんだら、腹立った。それが60歳ぐらいから腹立てへんようになりましてね。で、ゴルフ下手になった。クソッ思うんは大事なんですよ」と笑った。
と言いつつ、いまだ歩数計を手に、最低6000歩を歩く。同席していた内場も「(公演後に)ビリヤードに打ちっぱなしとか。ずっと動いてる。バイタリティーの塊ですよ」と元気の秘密を明かした。花子も「楽屋でもゲームとか、頭も使ってます」とレジェンドの元気の源を語った。
心身ともに来年80歳とは思えないめだか。そんなめだかから見ても、盟友の間寛平は怪物という。「今あるのは、寛平ちゃんのおかげ」が口癖のめだかだが、今春、新喜劇GMに就き宣伝活動と改革に努める寛平に「あの人は、人類で初めて2000歳ぐらい生きると思うわ」と感服するばかりだった。