コロナ禍が一段落し、今年「4年ぶり」に夏祭りが復活している地域が多い。
東京でも9月初旬位から各地の神社で祭りが開かれており、お囃子の音色や、屋台からの良い匂いを久しぶりに堪能した方も多いだろう。そんな高揚した気分が一瞬「え!」と止まるのが、屋台グルメの値段を見た瞬間だ。
焼きそば800円、牛串焼き1000円など、コロナ禍前ではあまり見たことの無い「高い」値付けが並ぶ。
原因はもちろん、物価高騰だ。帝国データバンクによると、2022年に値上げされた食品は2万5000品目を超え、2023年は10月時点で3万品目を超える見通しだ。
また屋台の拠点から祭り会場まで移動するにもガソリンや軽油が必要だし、焼きそばを焼くにはガスも必要だ。そのエネルギーも急激に高騰している。人件費もしかりだ。
食料品、エネルギー、人件費などの高騰が、屋台グルメの値上げに繋がっている。
その分、「こんなに高かったっけ?」と驚き、そそくさと近くのコンビニで食料を調達する人も多くなるだろう。子どもがお小遣いの500円玉を握りしめて、屋台でお金の使い方を学ぶ時代は終わりつつあるのかしれない。
客離れが心配されるが、屋台側も色々考えているようだ。
関係者の話では、ある程度の売り上げを担保するために、例えば「1店あたり5万円」を主催者から貰う代わりに、5万円分のチケットを渡すという出店方法があるという。屋台側から見れば5万円の売り上げが最初から保証される一方、主催者側は5万円分のチケットを町内会やスポンサーに配るので、集客力を上げられるという形だ。
夏祭りの屋台は日本の風物詩でもあり、文化的な側面もある。今後は「観光地価格」のような形で、「多少高くても良いか」と許容されながら楽しむ娯楽となっていくかもしれない。