「アベンジャーズ」シリーズのアイアンマン役などで知られるロバート・ダウニー・Jrが、現地時間3月10日に開催された第96回アカデミー賞授賞式で、キャリア初となる助演男優賞に輝きました。
ダウニー・Jrは、クリストファー・ノーラン監督が原爆の父を描いた「オッペンハイマー」で主人公ロバート・オッペンハイマーと対立する原子力委員会のルイス・ストラウス委員長を演じ、高い評価を受けていました。
5歳の時に父ダウニー・シニア監督の作品で子役デビューし、これまで「チャーリー」(92年)で主演男優賞、「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(08年)で助演男優賞にノミネートされていますが、受賞経験はなく、3度目のノミネートでようやく悲願のオスカーを手にしました。
ハリウッドではダウニー・Jr以外にも、複数回ノミネートされながらオスカーを受賞したことのない名優がいます。
■トム・クルーズ
22年に「トップガン マーヴェリック」を大ヒットさせたトム・クルーズは、同作で主演男優賞候補に入ることはできませんでしたが、「7月4日に生まれて」(89年)と「ザ・エージェント」(96年)で主演男優賞、「マグノリア」(99年)で助演男優にノミネートされています。名実ともにトップスターですが、オスカーには未だ手が届いていません。そんなクルーズは、2年連続で監督賞に輝いているアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の新作に出演することが決まったと報じられており、悲願のオスカー獲得に期待が寄せられています。
■ジョニー・デップ
元妻で女優のアンバー・ハードとの泥沼離婚劇の影響から最近は表舞台から遠ざかっているジョニー・デップですが、2000年代には「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(03年)、「ネバーランド」(04年)、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(07年)で3度主演男優賞にノミネートされています。しかし、2010年代以降ノミネート作はなく、復活が期待されるところです。
■ブラッドリー・クーパー
監督・主演・脚本を務めた「マエストロ:その音楽と愛と」で主演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーは、残念ながら受賞は逃しましたが、これまで「世界にひとつのプレイブック」(12年)、「アメリカン・スナイパー」(14年)、「アリー/スター誕生」(18年)で主演男優賞、「アメリカン・ハッスル」(13年)で助演男優賞にノミネートされています。監督、脚本家、プロデューサーとしても活躍するクーパーは、俳優として5回、監督賞や脚本賞、作品賞なども合わせると12回ノミネートされていますが、未だにオスカー像を手にすることができずにいます。
■ミシェル・ウィリアムズ
スティーブン・スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」で昨年、主演女優賞の候補になったミシェル・ウィリアムズも「ブルーバレンタイン」(10年)と「マリリン7日の恋」(11年)で主演女優賞、「ブロークバック・マウンテン」(05年)と「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(16年)で助演女優賞に名を連ねていますが、未だ無冠です。
■エイミー・アダムス
99年に「わたしが美しくなった100の秘密」で映画デビューしたエイミー・アダムスは、「ジューンバッグ(Junebug)」(05年)で助演女優賞に初ノミネートを果たし、その後は「ダウト〜あるカトリック学校で〜」(09年)、「ザ・ファイター」(10年)、「ザ・マスター」(12年)、「バイス」(18年)でも助演女優賞にノミネート。「アメリカン・ハッスル」(13年)では主演女優賞の候補にもなり、これまで6度ノミネートされていますが、受賞はゼロです。
■マーゴット・ロビー
昨夏社会現象を巻き起こした「バービー」に主演したマーゴット・ロビーは、主演女優賞候補から漏れたことが冷遇だと話題になりましたが、オスカーに手が届かない女優の一人です。「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」(17年)で主演女優、「スキャンダル」(19年)で助演女優賞にノミネートされていますが、いずれも受賞を逃しています。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)