リストラ宣告人がお払い箱危機…人生を見つめ直すきっかけになる「マイレージ、マイライフ」

リストラ宣告人がお払い箱危機…人生を見つめ直すきっかけになる「マイレージ、マイライフ」

ジョージ・クルーニー(ロイター)

(東スポWEB)

【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。先月26日にプロ野球のドラフト会議が開かれ、指名を受けた選手たちは、これからプロの扉を開こうとしています。その一方で戦力外通告を受け、移籍先を探す者や球界を去る者もいます。夢を胸に球界に飛び込む者と夢破れ球界を去る者。実力の世界だけに仕方のないことではありますが、野球ファンにとってはちょっと切ない季節でもあります。

 日本では終身雇用が一般的ですが、会社の経営状況や景気次第でリストラは決して人ごとではありません。そこで今回はジョージ・クルーニー主演の映画「マイレージ、マイライフ」(2009年)を紹介します。直訳すると「マイレージは私の人生」で、旅行映画と思っちゃいますよね。原題は「Up in the Air」で邦題がややこしくしているパターンです(笑い)。

 ジョージ・クルーニー演じるライアンは企業の人事担当者に代わって社員に解雇を伝えるリストラ宣告人。リストラを宣告された人たちは「明日からどうすればいいんだ」「住宅ローンが払えない」などと不安や不満を訴えるのですが、ライアンは「自分を見つめ直すいいチャンスではないですか」と問い掛け、解雇をポジティブに捉えるように促します。

 ライアンの哲学は「バックパックに入らない荷物は一切背負わない」で、気ままな独身生活を楽しんでいました。対面でのリストラ宣告を重視するライアンは全米各地を年間322日も出張し、航空会社のマイレージを1000万マイルためることを目標にしています。

 ところがある日、新入社員のナタリーが会社に制度改革を提案します。解雇通告をライアンのような対面式ではなく、オンライン・チャットで行うことや、出張を廃止するなど変化を求めたのです。古いやり方のライアン自身がお払い箱になる可能性があり、リストラ宣告する際の殺し文句だった「自分を見つめ直すいいチャンスではないですか」が自身に向けられることになります。そんな中でライアンの心に変化が生じていきます…。結末はぜひ本編でご覧ください。

 本作は実際にリストラされた22人にインタビューを行っており、ドキュメンタリー映画でもあるんです。彼らは解雇という絶望の中で、見つけた人生で大切なものについて語っています。

 人間ってどうしても変化を恐れてしまいます。それが自分の意志ではなかったらなおさらです。それでも人生は続いていくわけで、まさに人生を見つめ直すきっかけとなる1本です。

☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のアリコンch」で紹介している。

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