女優の武田梨奈がパーソナリティーを務めるラジオ番組『武田梨奈のこだわりな時間』(ラジオ関西)7月9日放送回に、ロックバンド「クリープハイプ」ボーカル・ギターの尾崎世界観がゲスト出演。映画のモデルにもなったクリープハイプの楽曲「ナイトオンザプラネット」の制作秘話を語った。
共通の知人である映画監督・松居大悟氏の話をきっかけにトークをスタートした武田と尾崎。今年2月に公開された松居監督の映画『ちょっと思い出しただけ』は、クリープハイプの曲「ナイトオンザプラネット」がベースとなった作品でもある。
【武田】 「ナイトオンザプラネット」は、最初に曲ができたそうですね。
【尾崎】 コロナになって、ライブが延期になったときに、本来ならライブをやっていた時間に曲を作り始めたんです。そういうことを直接歌うのは嫌だなと思ったんですが、ライブがなくなるっていうことが初めてだったので、それはどうしても避けられなかったですね。
【武田】 時間があったからこそ、この曲を書くことができたのでしょうか?
【尾崎】 単純に時間があって、こんなゆっくり作品を作る時間がとれるということがなかったので。それもすごくこわいことだなと思いましたね。時間さえあればもっといける(できる)と思っていたけど、本当に時間ができちゃったときに、本当にもっといいものがつくれるのかと、突き付けられた気がして、すごく不安な気持ちもありましたね。
【武田】 映画『ちょっと思い出しただけ』の完成を観たときは、どういうお気持ちだったんですか?
【尾崎】 自分が関わっているので、お客さんとしては(客観的に)見れなかったですね。でも、すごくいい作品だなと思いました。時代にあった、今の気分がちゃんと出ているなと。ずっと作品が残り続けるのも大事だと思うんです。ただし、10年後、20年後、同じ気持ちで観れる作品はすごく素晴らしいけど、やっぱりこの1年でしか伝わらないものもあると思うので。
【武田】 そうですね。歌のもととなった映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』も1回しか見ていない、あえて見ないようにしているとおっしゃっていましたね。
【尾崎】 映画そのものにも、もちろんいいなと思ったんですが、それを見ている自分を客観的に見ていて、この高校時代になんかちょっと背伸びしてこういう映画を観ている自分を、さらに俯瞰で見ていて。その自分も含めて、その作品をもちろんいいと思ったけど、それをいいと思いたいという自分もいて。それはすごくあったので、(時代を経て)新しく観たとき、そこが崩れるのが怖いんですよね。
【武田】 大人になって、いろいろな経験を重ねてから見ると、違いますよね。
【尾崎】 そうなんですよね。もちろん、素晴らしい映画なので、(何回も観ることで)もっとよく思える可能性のほうが高いんです。ただ、やっぱりあのときの思いや、ずっと自分が「この映画のせりふからバンド名を決めたんです」といっていたりすることを崩したくなくて。でも、今回『ちょっと思い出しただけ』という映画が公開されたことによって、みんなが『ナイト・オン・ザ・プラネット』を見ているので、すごく見たくなりますよね
【武田】 そうですね! 見直したくなりますよね!