頼もしい両左腕が、チームの系譜を受け継ぐ。昨年の覇者として迎える夏は、エース・中村と奥野谷の2枚看板で2年連続の甲子園出場を目指す。ともに新チームとなった2年秋からベンチ入り。だが、公式戦の結果は満足いくものではなかった。
昨年の秋季県大会は1回戦で広島商に1−11で大敗。春季県大会は2回戦で広陵と対戦し、4−8で敗れた。広陵戦で先発した中村は「前半は新庄のペースで野球ができたけど、後半は自分が崩れてリズムが悪くなった。夏は試合を優位に進められるように、自分がしっかり投げていきたい」と主戦の自覚をにじませた。
奥野谷も欠かせない存在だ。春は登板機会がなかったが、キレのある直球に加え、スライダー、カット、チェンジアップなどを自在に操る。左右どちらの打者に対しても内角を厳しく突く、攻めの投球が真骨頂。「中村を支える、助けるというイメージで、万全の状態で臨みたい」と献身的な姿勢を示した。
甲子園に出場した昨年は花田(現巨人)、秋山という県内屈指の好投手がチームの原動力となった。その2人と練習をともにしてきた中村と奥野谷。今年の両投手に宇多村聡監督(35)は「素晴らしい投手を見て練習を一緒にやってきた。『どうやったら試合に勝てるか』を彼ら自身が考えながらやってくれている。持っている力を発揮すればある程度、抑えられるかなと思う」と信頼を寄せた。
攻撃の中心は4番に座る河野優輝(2年)だ。チームの大半が3年生だった昨年から試合に出ており、頼れる存在。「常に挑戦者という気持ちで。チャンスで一本打って、チームを甲子園に連れていけるような打撃をしていきたい」と闘志を燃やした。
悔しさ晴らす
昨夏の甲子園では横浜に逆転サヨナラ負けを喫し、1回戦敗退。悔しさを糧にナインは鍛錬を積んできた。宇多村監督は「連覇できるのは今年で言えばウチだけ。秋と春、悔しい思いをしている。選手たちともう一度、甲子園の舞台に立ちたい」とうなずいた。昨年の覇者としてのプライドも胸に聖地を狙う。(向 亮祐)
中村太人(なかむら・だいと)2004年6月9日生まれ、大阪市生野区出身。177センチ、70キロ。左投げ左打ち。投手。巽東小学校では大阪東リトルリーグ、新生野中では天王寺リトルシニアに所属。広島新庄では、2年秋からベンチ入り。持ち球はストレート、カーブ、スライダー、カット、ツーシーム、チェンジアップ。50メートル6秒6、遠投95メートル。
奥野谷栄須(おくのたに・えいす)2004年9月21日生まれ。愛媛県新居浜市出身。178センチ、77キロ。左投げ左打ち。投手。船木小2年から野球を始め、新居浜ヤンキースジュニアに所属。船木中では新居浜ヤングスワローズ。広島新庄に進学して2年の秋からベンチ入り。