互いに点を取り合って4−4で迎えた九回、先頭の寿賀弘都外野手(2年)が右中間への三塁打で出塁。絶好機で打席に入った中浦は、内角低めの直球を上からたたきつけた。「いつもやろうとしているバッティングができた」。右翼へのライナー性の打球は犠飛となり。勝ち越し点を生み出した。
試合後、涙が止まらなくなった中浦。「自分がエラーしても、チャンスで打てなくても、チームのみんなが支えてくれた。ありがとう、という気持ちでした」と、少し恥ずかしそうに涙の理由を語った。
新チーム発足から、香川純平監督(37)を始め、首脳陣は「力がない。弱い」とチームを評し続けてきた。選手たちもそれを自覚していたが、練習試合で勝てず、普段から怒られる日々が続き、野球への情熱を失いかけたこともあったという。
前チームから主軸を務めた寿賀でも「もう野球はいいかな、と思うこともあった」と、率直に話し、中浦も同様の思いを口にする。しかしその度に仲間から声を掛けられ、励まされ、踏みとどまることができた。「本当にいいチームだと思う」と中浦。チーム一丸で頂点をつかんだ。
来春のセンバツ出場を確実にしており、18日からの明治神宮大会出場も決定。初戦は関東王者・山梨学院と対戦する。香川監督は「相手に合わせた野球はできない。自分たちができることをしっかりやる」と、足元を見据えた。「勝ちに貪欲にならないと勝てない。チーム一丸で目の前の試合に全力を尽くします」と中浦。はい上がってつかんだ頂点から、さらなる挑戦を始める。
◆横井主将「浅野さんはもっと…」
〈高松商〉リードを守り切れず、県大会の決勝に続いて敗戦。主将の横井亮太内野手(2年)は「悔しいし、実力不足です」と唇をかんだ。春のセンバツ出場は当確させているが課題は山積み。主将として「浅野さんはもっと勝負どころでチームを引っ張る一打を打っていた」と、前主将で巨人ドラフト1位の浅野翔吾外野手(17)を引き合いに、さらなる成長を誓った。