山下はソロデビュー直前の1976年に「ANN」2部を担当しており、「ANN」の冠がついた番組でパーソナリティーを務めるのは実に46年ぶり。ゲストとしてはその後も何度か出演経験があり、その中で「一番強烈に記憶が残っている」のは勝さんがパーソナリティーの回に呼ばれたときだったという。
1980年、勝さんが監督、主演を務めた日本テレビ系ドラマ「警視―K」で山下は音楽を担当した。「ある日、勝新太郎さんがオールナイトニッポンを担当されるというので呼ばれて行ったんです。昔の(ニッポン放送の)旧社屋で。わりと狭いブースだったんですけど、いわゆる銀座のきれいどころがズラっと並んでおりまして」とスタジオの様子を回顧。勝さんは「おお、よく来た、よく来た!」と山下を歓迎し、しばらく2人でトークを展開。夜中ということもあり、勝さんはお酒を飲みながらの出演だったという。
スタジオの片隅にはコンガが置いてあり、勝さんは「山下くん、じゃあそのコンガを叩け。俺は机でいいや。俺が何かやるからお前は応えろ!」と即興でのセッションを提案。勝さんが机を叩くと山下が応える…をずっと繰り返し、「夜中の2時過ぎに何をやってるのかな?って」と不思議に感じたという。
番組が終わると「今日は面白かった。これからメシを食いに行こう」と勝さんに誘われ、午前3時過ぎから夜の街へ。「金色のロールスロイス。そんなもんがあるんですね、世の中に、それに乗っけられて。朝まで飲んで食って“今日は楽しかった!”って…あれは凄かったですね」と振り返る山下。「あの当時の日本の芸能界、映画界の凄さを思い知らされて、まだ27歳くらいですから。オールナイトニッポンといえば、あの勝さんのゲスト、それが一番強烈でした」と話していた。