■人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス
同ドラマは、日本推理作家協会賞や山本周五郎賞など数々の受賞歴を持つ早見和真が2021年に発表した同名小説が原作。抜群の人気を誇る若き政治家と有能な秘書の“得体の知れない不気味さ”に気付いた新聞記者が、彼らを取り巻く黒い闇に迫るヒューマン政治サスペンス。
印象的な笑顔とリベラルな言動で人気を集め、未来の総理候補との呼び声も高い若き政治家・清家一郎と、そんな彼を支える有能な秘書・鈴木俊哉。その2人の奇妙な関係を暴こうと、新聞記者である道上は、彼らの隠された過去を探っていく。
道上の社会部時代の先輩記者・山中尊志を丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹を曽田陵介、道上の元夫・旗手健太郎を和田正人が演じる他、謎の女役で高岡が出演。
さらに、清家と鈴木の福音学園時代の同級生・佐々木光一を渡辺大、大手新聞社社会部の敏腕記者だった経歴を持つ道上の父・兼高を渡辺いっけい、清家の実父で、官房長官を務めた経験もある有力代議士・和田島芳孝を加藤雅也、明るく前向きで肝がすわっている道上の母・香織を筒井真理子が演じている。
■清家の母・浩子について調べれば調べるほど怪しさが増していく
清家や秘書の鈴木、そして清家の元恋人であり、本当の名前は真中亜里沙である三好美和子(田辺桃子)と、道上は父・兼高の死をきっかけに探っていくうちに、清家の母・浩子にたどり着いた。
美和子は行方知れずで、道上が実家も含めて、いろんなところに足を運んで調べても何もつかめなかった。しかし、浩子はそれとは真逆。その時は正体を明かさなかったが、道上の母親の店に客として来て、しれっと道上と話をしていた。敵情視察か宣戦布告か。その真意が見えないところに不気味さを感じる。
道上は調べれば調べるほど、浩子が怪しく感じられるようになり、これまでの複数の死亡事故も浩子が仕組んだのではないかという疑念を持つようになった。
■道上は、浩子と鈴木がつながっているのではいかと疑い始める
道上は、清家や鈴木が通っていた福音学園時代の元担任で、現在は学園長を務めている一色(東根作寿英)から話を聞き、鈴木は清家の母・浩子のことをよく知っていることが分かった。それで道上は、浩子と鈴木がつながっているのではないかと疑い始める。
道上のその疑念は本当だった。清家が高校生の時、彼の祖母が亡くなり、鈴木(西山潤)は清家(青木柚)の家を訪れた。そこに浩子がいた。清家と鈴木は長く話し込んでいたが、夜9時少し前に「一郎くんは遅いからもう寝なさい」と浩子に言われて、清家は自分の部屋に行ってしまう。
鈴木はそのことに驚いたが、浩子は鈴木のそばに座り、「仲良くしてくれて本当にありがとう。あの子、本当に頼れる人がいないから、俊哉くんたちの存在が本当に大きいと思うの。あの子に力を貸してあげて」と、手を握りながら話した。
■手を握られて見つめらると、鈴木は浩子に逆らえない関係に
あの日から鈴木は浩子の術中に落ちたのだろう。大学生になっても「あの子と一郎くんを引き離してほしいの。お願い。頼れるのは俊哉くんしかいない」と、浩子に手を握られて頼まれると、恋人と別れさせるために動いてしまうほど従順な鈴木。
その関係に気付いていた美和子は「あの母親、鈴木さんのこともコントロールできてるんだろうなぁって」と、別れさせにきた鈴木にストレートに伝えた。美和子の言葉どおり、鈴木はすでに浩子のコントロール下だった。手を握られ、見つめられると何も逆らえない。しかも、越えてはいけない禁断の関係に。
「頼りにしてるわ。俊哉」と言われた鈴木は、一郎と美和子を強引に別れさせようとし、美和子は消息を絶った。
■道上が病院で見かけた人物は、鈴木の妻だった
以前、鈴木が入院していた病院で道上が見かけた第2の謎の女性(真飛聖)がいたが、その正体も明らかになった。彼女は鈴木の妻・由紀で、元々は新日本新聞社会部の記者をしていて、現在は子会社に出向中だった。
清家が大学時代に書いたエリック・ヤン・ハヌッセンの論文が鈴木宛に送られてきて、何か違和感を覚えた由紀がそれを開封。夫が関わると危険なのではないかと心配し、以前から知っていた道上に、信頼できる人だと思って論文を送ったという。どうやら由紀は道上の味方になってくれそうな感じだ。
由紀の話によれば、鈴木は「浩子に殺される」とうなされていたこともあったみたいなので、鈴木の「清家を利用する」という企みがバレたのだろうか。それ以外に何か浩子の逆鱗に触れる出来事などがあったのか。2人のあの後の関係性が気になるところ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※兼高の高は正しくは「はしご高」