本作の主人公は、ドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』で初登場したアガサ・ハークネス。数百年前から現代まで生き続けてきた魔女だ。過去には黒魔術を使ったとして仲間の魔女から処刑されかけるが、逆に彼女たちのパワーを全て吸収し力を覚醒させた。しかし、アガサの真の恐ろしさはその圧倒的な魔術ではなく、裏工作の緻密さと、何をしでかすかわからない厄介さにある。捉えどころがなく本心が読み取れず、おどけたかと思えば次の瞬間には妖しく挑発してくる。
『ワンダヴィジョン』では序盤からいくつも怪しい点があったにもかかわらず、終盤に黒幕であると自ら明かすまで視聴者をもだまし続けてきた。“スカーレット・ウィッチ”ことワンダ・マキシモフの強大な力を奪うべく、周到に正体を隠して近づいたアガサはあらゆる裏工作を行い、自身が思う方向へ誘導。ワンダたちの愛犬を事故に見せかけて殺したり、錯乱したふりをして相手にまんまと“気付き”を与えたり…と、魔術だけでなく、言葉や演技を巧みに使い分けて周囲を翻ろう。しかし、最後はワンダに力を奪われ、記憶を失ってしまったはずだったが…。
『アガサ・オール・アロング』の予告編の冒頭では、なぜか警察官姿のアガサが殺人事件を捜査している。しかし、謎の女性に指摘をされたことで、魔女としてのアガサが正体を現す。なぜ彼女は警察官に扮していたのか?その後、魔女アガサの真の姿とともに、驚きと恐怖だらけの魔法ワールドの扉が開かれていく。観る者にまでカオスをもたらしていくアガサという存在が、マーベルに全く新しい混沌をもたらすのは間違いない。
彼女の“裏工作”はタイトルでも発揮されており、本作の副題が「オール・アロング」に決定するまで、「The Darkhold Diaries」、「House of Harkness」、「Coven of Chaos」、「The Lying Witch with Great Wardrobe」と計4回の変更が行われてきた。
マーベル・スタジオ公式Xでの正式タイトル発表時にはあわせてこれら4タイトルについても触れられており、“オール・アロング=最初からずっと”、我々はアガサに翻ろうされていたのかもしれない。
アガサ役を務めるのは、『スパイダーマン:スパイダーバース』『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』のキャスリン・ハーン。そのほか、ドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』のオーブリー・プラザ、ドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』のジョー・ロックらが出演。
製作総指揮は、『ワンダヴィジョン』のジャック・シェイファー、各話のエピソード監督には、Netflixシリーズ『ウェンズデー』のガンディア・モンテーロや、Amazon Original『ザ・ボーイズ』のスピンオフ『ジェン・ブイ』のレイチェル・ゴールドバーグが参加。さらには、『アナと雪の女王』の名曲「レット・イット・ゴー」や、『リメンバー・ミー』の主題歌の作詞・作曲で知られるクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが本作に新たな曲を書き下ろしたと言われている。