■恋×家族×ゴハン…新感覚の実家コメディ
『おいハンサム!!』(2022年からフジテレビ系で放送)とは、恋×家族×ゴハンをめぐる新感覚のホームドラマ。ゆるっと“ながら見”するのにちょうど良い日常系の物語で、時に深い“名言”と“迷言”が飛び交い、思わずクスッと笑ってしまうシュールさもある。だがハッと気付かされることもあり、まるで家族と共に居間にいるかのようなホッと一息感、そして心がじんわりと温かくなる。と、同時に“飯テロ”過ぎて思わずお腹が鳴ってしまう…心身ともに程よく刺激されるちょっと変わった実家コメディだ。
そんな『おいハンサム!!』が、今年4月期に『おいハンサム!!2』として帰ってきた。この帰還を楽しみに待っていた視聴者は少なくない。きっとワックワクで『おいハンサム!!2』を観て、存分に味わい尽くしたことだろう。一方で『おいハンサム!!』ってどんなドラマ…? と興味が湧いた方もいるはず。
■ディレクターズカット<完全>版はファンもビギナーも楽しめる?
そんな両者共に楽しむことができるのが、『おいハンサム!!2』ディレクターズカット<完全>版である。なぜなら、地上波では放送しきれなかったシーンが追加されていることで、『おいハンサム!!』ファンには“ポケットの中に新しいもの”が増え、物語がより深くコクがあるものにグレードアップする。また一度観たからこそ、あのセリフがこんな繋がり方をしていたのか!このシーンにこういう意味があったのか!とドラマ自体に新しい発見もあるはずだ。
そして『おいハンサム!!』ビギナーにはもちろん、“ポケットの中がパンパンに詰まった”完全状態でゼロから味わい尽くしてもらえる。まだ視聴できていない人は、そのポケットを覗いて『おいハンサム!!』の“真”を見たら、“ハンサムな魅力”にきっとズブズブ沼へハマってしまうことだろう。
後に地上波放送と見比べてどのシーンが追加されたのかをゲーム感覚で見つけてみるのも面白い。なぜ、このシーンがカットされたのか…? このシーンにどんな意味があるのか? と考察してみるのもまた心踊る。
■ディレクターズカット<完全>版追加シーンを考察!
さて、ここからは『おいハンサム!!2』ディレクターズカット<完全>版 第1話を観て、筆者が個人的に考察してみたシーンを記載したい。以下、ネタバレを含むためまっさらな状態でドラマを楽しみたい方は、ここでそっとブラウザを閉じて欲しい。
第1話はまさに、冒頭の源太郎の言葉にすべてが詰まった回だった。これをさらに噛み砕くと、源太郎の次のようなセリフになる。
「(前略)つるつるピカピカしたものの陰に大量のゴミやムダが生み出されているのかもしれない。(中略)気の毒に思ったような人が実は私たちよりずっと幸せだったりするかもしれない。時代は変わる。尺度も変わる。流されるな。わからないことを批判するな。視野を広く持て」と、寝違えて首が回らず物理的な視野が極めて狭い源太郎が言うのだから、実に“ハンサム”だ。
ポケットの中(=真)を見ないと、その人の本質は分からない。ちなみにディレクターズカット<完全>版で加えられた冒頭1分の鵯越コンサルメンバーの会議シーン。ここですでに源太郎のセリフの伏線が張られている。そんな伏線だけでなく、単純に登場人物や物語をより色濃くする追加シーンも満載だ。
ぜひ、6月15日(土)に日本映画専門チャンネルにて、『おいハンサム!!2』ディレクターズカット<完全>版のどういう部分に伏線が張られているのか、そのポケットの中身を実際にあなたの目で覗いてみて欲しい。
文=戸塚安友奈