一見弱そうでも使い方次第で可能性は無限大
『ONE PIECE』という物語を語るうえで、欠かすことのできない存在が「悪魔の実」です。悪魔の実を食べた者は特殊な能力が使えるようになり、効果によっては戦闘時の大きな武器になります。
「悪魔の実」の名称も個性的なものばかりで、名前を見ただけでどんな能力なのか何となく分かるのも特徴です。しかし、なかには名前だけ見ると能力は弱そうなのに、蓋を開けてみたら予想を遥かに超える強さだった「悪魔の実」も存在しました。
そこで今回は、名前と能力の強さのギャップがすごかった「悪魔の実」を振り返ります。
●メロメロの実(ボア・ハンコック)
「メロメロの実」の能力は、元王下七武海の一員で、女ヶ島にある国家アマゾン・リリーの現皇帝であるボア・ハンコックが持っています。
名前の通り、相手をメロメロにする能力で、一見戦闘とはまったく関係なさそうですが、ハンコックに見惚れた人や、触れた無機物を石化させる恐ろしい力を秘めていました。
現在四皇として君臨する黒ひげの海賊団に能力を狙われた際も、大監獄インペルダウンのLEVEL6を脱獄した凶悪なメンバーを含め、黒ひげの幹部たちを石化させています。
ただし、誰にでも扱える能力ではないことはハンコック自身が認めており、「この能力はわらわの美しさあってこそ」と語っています。持ち前の強さと、世界一とうたわれる美貌を兼ね備えたハンコックだからこそ、「メロメロの実」の能力を最大限発揮できるのでしょう。「悪魔の実」を活かすも殺すも、能力の持ち主によるのかもしれません。
●イトイトの実(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)
元王下七武海のひとりで、ドレスローザの支配者だったドンキホーテ・ドフラミンゴは、「イトイトの実」の能力者です。イトイトが意味するのはそのまま「糸」で、細くてすぐに切れてしまうイメージから、あまり強そうに感じない人も多いことでしょう。
ですが、ドフラミンゴが繰り出す糸は、操り人形のように他人の体を操るほか、分身を出したり、雲に糸をかけて空中移動できたりと、状況に応じて幅広く活用できます。また、手や足から出る糸で敵に斬撃を与えたり、拳銃のように糸の弾を撃ったりと、高い攻撃力も併せ持っていました。
また、ドフラミンゴによって鍛え抜かれた「イトイトの実」の能力は、「悪魔の実」の覚醒という新たなフェーズに至っています。「超人系(パラミシア)」の能力は、自分の身体や触れたものにのみ影響するはずでしたが、覚醒したイトイトの実の力は、周辺の建物や地面を糸に変えるなど、周囲にまで変化を及ぼすようになりました。
その能力の覚醒をとくに印象づけたのが、「イトイトの実」最強の技ともいえる「鳥カゴ」です。触れたものを八つ裂きにする強靭な糸の束で巨大な檻を作り出し、収縮させることで「鳥カゴ」のなかにいる者を切り刻み、皆殺しにできるという凶悪な技でした。
手を叩くだけで出てくるのは、ただの「お菓子」じゃない?
●ビスビスの実(シャーロット・クラッカー)
「ビスビスの実」の能力者は、ビッグ・マム海賊団の「スイート3将星」のひとり、シャーロット・クラッカーです。
手を叩くとビスケットを出せる「ビスビスの実」の能力は、お菓子を出すだけの弱そうな能力に感じますが、実際は意のままに操れるビスケットの兵隊を生み出せる能力でした。
しかも、生み出したビスケットは脆そうなイメージとは真逆で、ルフィのギア4(ギアフォース)による渾身の攻撃でないと壊せないほど硬く強靭なものです。その硬いビスケットを鎧として身に纏ったり、強靭な剣を作り出したりと、攻守どちらにも活用できる戦闘向きな能力といえます。
さらに、ビスケット兵はクラッカーが手を叩くだけで無限に作り出せるため、総力戦になるとすさまじい威力を発揮します。
ホールケーキアイランド編の前半では、クラッカーの「ビスビスの実」の能力により、倒しても倒しても出てくるビスケット兵に、ルフィたちは大苦戦を強いられました。ナミが機転をきかせて雨でビスケットを柔らかくし、ルフィが「ひたすら食べて逃げる」ことで、クラッカーの体力を削り、辛くも勝利しています。