ベガパンクもたどり着けなかった科学技術
現在『ONE PIECE』では、最先端の科学島を舞台とする「エッグヘッド編」が進行しています。未来島エッグヘッドでは、島をまるごと温める島エアコンや、500種類の料理を1分以内で提供する無人調理器、ホログラム、反重力装置などSF顔負けの機器が、Dr.ベガパンクの手によっていくつも実現されていました。
ですが、それらの動力源は意外にも、すべて「火」によって賄われています。つまり、世界最高の頭脳を持つDr.ベガパンクのお膝元であっても、「電力」エネルギーは生み出されていないのかもしれません。作中では昔から遠方との連絡手段に「電伝虫」が使われており、麦わらの一味のなかでいちばんハイテクな存在であるフランキーの動力も「コーラ」であるなど、電気機械はないようにも見えます。
そこで気になるのが、Dr.ベガパンクが「世界の常識を変える程の力」と語っていた動力です。900年前に実在した王国で使用されていた機械がエッグヘッドに残されているのですが、その動力は現代では再現できないものとされています。900年前といえばずっと残っている謎である「空白の100年」を指す時代ですが、その時代に使われていたのが火よりも優れた動力ならば、それが電力である可能性は高いでしょう。
そして作品内では、電力技術が残されている描写がいくつかあります。「空島編」では、飛行船「方舟マクシム」がエネルの「ゴロゴロの実」による雷を動力としていました。
そしてその後表紙短期集中連載「エネルのスペース大作戦」にも、見過ごせないシーンがあります。エネルが訪れた月の都市「ビルカ」は地上より高度な文明をもつ都市で、電気エネルギーで動く大量のロボットや、電気で発光する巨大な光源らしきものも描かれていました。「ビルカ」は古代の都市なので、月面にあるとはいえ900年前の王国と関連する可能性も捨てきれません。
コミックス表紙も飾った謎の「親方」
月だけでなく、地上でも電灯らしきものが描かれています。それがあったのは、233話でバギーが訪れた島でした。「キャプテン・ジョンが財宝を隠した伝説の洞窟」と信じてその島の洞窟を訪れたバギーでしたが、実は工事中のトンネルだったというオチがついています。
トンネルは「親方」なる人物が率いる集団によって、工事が進められていました。日が差さないそのトンネル内を照らしていたのは、紛れもなく電力によるランプです。名前も明かされない島でしたが、地上で電力による明かりが描かれたのはここだけでした。
ますます謎が深まる電力事情ですが、実は「Netflix」で制作された実写ドラマでは、電灯が至るところで使われています。実写ドラマは作者の尾田栄一郎先生が監修しており、アメリカの情報サイト「スクリーン・ラント」によれば、実写版のプロダクションデザインを担当したリチャード・ブリッジランド氏が電気を使ってもいいのかという質問したそうです。尾田先生は電力技術の有無はとくに考えていなかったそうで、「電力があることにしてもいい」という返答があった旨が語られていました。
とはいえ原作マンガにおいて、トンネル工事の島でだけ電灯が出てきたのは、なんとなく意味深な気もします。しかも工事を主導していた親方は、脇役と思いきや25巻では表紙を飾るほどの大抜擢でした。同じ表紙にはルフィ、シャンクス、黒ひげ、バギーという、のちの四皇の面々がおり、表紙の背景には親方がいたトンネルも描かれています。
果たして親方は、「空白の100年」の鍵を握る超重要人物なのか、またあの場所は王国と関係しているのでしょうか。親方が掘っていたトンネルの先には、作品を揺るがす重大な
何かが隠されていたのかもしれませんね。