フジテレビで放送中の人気アニメ「ちびまる子ちゃん」で主人公・まる子の声を務めている声優TARAKOさん(本名非公表)が亡くなったことが9日、分かった。同局がこの日、公表した。63歳だった。群馬県太田市出身。
TARAKOさんは、1981年、アニメ「うる星やつら」で幼稚園児役として声優デビュー。82年の「戦闘メカ ザブングル」のチル役で初レギュラーを獲得。86年の「めぞん一刻」では麻美、ホステスのアケミの声優を担当した。
90年1月7日にまる子役として「ちびまる子ちゃん」がスタート。同アニメは、最高視聴率39・9%、平均でも25%を獲得し“まるちゃんブーム”を巻き起こし代表作となった。オーディションで原作者のさくらももこさん(18年死去)の声と似ていたため抜てきされたという逸話もある。
同アニメは、92年9月27日で終了、2年4カ月後の95年1月8日に復活し、現在まで続く長寿番組となっている。復活放送が決まった際には「キャラクターを見ているとジワーと込み上げてくるものがある。“家族”と会うのも久々で、なんだか同窓会気分。(アニメが)復活してとにかくうれしい」と声を弾ませていた。自身も同アニメで脚本を担当している。
同アニメのキャラクターはCMでも人気でこれまで「ケーズデンキ」や「アフラック生命保険」など多くの企業で採用。現在は国土交通省の物流革新「まるっと減らそう!再配達」篇にも登場している。
また、歌手のイルカ(73)とも声が似ていると言われており、それがきっかけとなり同アニメのエンディングテーマ「針切りじいさんのロケンロール」で共にコーラス担当。91年10月から1年間放送されたニッポン放送「さくらももこのオールナイトニッポン」にイルカとともにゲストとして出演したこともある。
声優として活躍する一方で、シンガー・ソングライター、劇団主宰・俳優という幅広い活動もしてきた。歌手としては、83年にアルバム「とっておきの瞬間」を発表。96年には演劇集団WAKUを創設。明日への希望に繋がるメッセージをモットーに、年に一度のペースでプロデュース公演を続けてきた。
18年にさくらももこさんが亡くなった際には、追悼コメントを発表。「早すぎます。まだまだやりたいことがいっぱい、いっぱいあったと思います。ずっとお会いしていなかったので、私の中のももこ先生は、ずっと小さくて可愛いくて、まあるい笑顔のままです。今はただ先生の分身でもある小学三年生の子に、嘘のない命を吹き込み続けることしかできないです」と悼んだ。さらに、「ももこ先生へ。私がそっちにいったら、似たような声でいっぱいいっぱいおしゃべりしてくださいね。そちらで楽しいこといっぱいいっぱいしてくださいね」と呼びかけた。今頃、天国で、さくらももこさんとおしゃべりしているかもしれない。
◆TARAKO 本名非公表。1960年(昭35)12月17日、東京都江戸川区生まれ、群馬県太田市出身。81年、テレビアニメ『うる星やつら』で声優デビュー。90年「ちびまる子ちゃん」で主人公・まる子役を担当。人気アニメとなり、90年にはフジテレビ系バラエティー番組「クイズ&ゲーム太郎と花子」の司会や「なるほど!ザ・ワールド」のリポーターなども担当。演劇集団WAKUを主宰、舞台の作・演出・出演も手がける。