助演女優賞の発表前に、技術賞で最優秀賞を『ゴジラ-1.0』が総なめしていたため、安藤は「ゴジラの勢いがすごいですね。私はその勢いにのせていただいた感じですが、私はこの映画の中でゴジラを見てもいませんし、ゴジラが来るとか、そういう恐怖も感じておりません。ただ、みなさまが作り出したすごいゴジラと、みなさまのお芝居で、作り出されたあの世界観があっての、近所のおばちゃんでした」と恐縮しつつ、昨年12月に他界した映画プロデューサーの阿部秀司について「阿部さん、まさかの受賞をさせていただけたよと、伝えたいです。ありがとうございます!」と心から感謝した。
また、続いて『怪物』で最優秀主演女優賞も手にした安藤は「本当にありがとうございます。うーん。ちょっと言葉が見つからないのですが…」とこちらも驚きつつ「いつも是枝監督は、(黒川)想矢や(柊木)陽太など年齢も、部署も問わず、みんなの意見を取り入れて撮影なさるんです。私たちはその場所でとても安心感をいだきながら撮影できるので、すごく特別な場所です」と是枝組のすばらしさを口にした。
「今回は主役の男の子たち2人とどう演じていくかをとにかく考えてやっていました。だから、2人が演じるお芝居から出たものがたくさんあって、2人のみならず、このチーム、俳優部だけにかぎらず、みなさんと本当に一緒に作っているという感覚が、とても心地よい現場でした」としみじみと語る。
また、『怪物』で柊木陽太と揃って新人賞を受賞した黒川想矢が、賞について「たくさんの方々のサポートや運でしかないという自分と、自分の力でやり遂げたと勘違いしてしまいそうになる自分がいて、そこでの戦いがあります」と述べていたことを受けて、安藤は「私もいつもこうやって受賞させていただくと、想矢が言ってたみたいに、私もものすごく戦うというか。でも、本来ならよっしゃーっ!ていけたらどんなにカッコいいだろうとも思うけど、なかなかできない。でも、やってみたら、みんなでその気持ちになれるというのはあると思うので、よっしゃー、やったあ!これで、またゴジラの牙をまた1本抜いたけど、なんか複雑!ありがとうございました!」と言って会場を沸かせた。
なお、安藤サクラの俳優としての日本アカデミー賞最優秀賞の受賞は、役所広司と並び5度目の快挙となった。
文/山崎伸子