「20年越し?」「気付いて感動」 『ワンピース』最高だった伏線回収は?

「20年越し?」「気付いて感動」 『ワンピース』最高だった伏線回収は?

『ONE PIECE Eternal Log “SKYPIEA”』(エイベックス・ピクチャーズ)

(マグミクス)

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80巻ぶりの伏線回収に驚愕

『ONE PIECE』といえば、随所に散りばめられている伏線の回収が面白さのひとつです。ストーリーだけでなく扉絵や表紙などいたるところに伏線が張り巡らされていますが、そのなかでも「最高だった」と評される気持ちのいい伏線回収を、比較的短期のものから十数年ぶりの回収となったものまでいくつか振り返ります。

 まず「偉大なる航路(グランドライン)」に入った直後に張られ、納得感の強い伏線回収といえば、磁気を記録する「記録指針(ログポース)」の形についての話題です。105話にてロジャー海賊団の船医だったクロッカスからもらったグランドラインを航海するために必須のコンパス「ログポース」は、なぜかコンパス部分が球体型で、そのなかで針が宙づり状態になっていました。

 球体型をしているせいで、218話にて針が上を指したまま動かなくなってしまうという故障が発生します。しかし実はこれは故障でなく、上空にある空島の位置を指していたのです。逆に真下の場合は、海中にある「魚人島」を指していることものちに判明します。単なるおしゃれなデザインかと思わせて、実は重要かつストーリー上必須の意味がある伏線回収でした。ちなみに105話のタイトルが「記録指針」で、218話は「“記録指針”が丸い理由(ワケ)」です。

 また、「空島編」のなかで伏線が張られ、回収された例も有名です。ジャヤという島にある猿山連合のモンブラン・クリケットの家は、「半分しかない」ことは大きな伏線でした。

 実は、海底から突き上げる海流(ノックアップストリーム)のせいで、家の半分があった土地が空島に吹き飛ばされていたのです。かつてクリケットの祖先であるモンブラン・ノーランドが一度訪れたはずの黄金郷にたどり着けなかったのも、黄金郷が空島に吹き飛ばされていたからでした。

 クリケットはノーランドの「髑髏(どくろ)の右目に黄金を見た」という言葉から、黄金郷の存在を信じていましたが、そののちに麦わらの一味がノックアップストリームに乗って空島にたどり着いた後、「髑髏」とは地上のジャヤと空島にあるジャヤの土地(「アッパーヤード」と呼ばれる場所)の半分ずつを組み合わせると出来上がる、かつてのジャヤの形であることが分かります。そして、その「髑髏」状の島の「右目」部分に、黄金郷シャンドラがありました。

 その後、ルフィがエネルを倒す際にシャンドラの黄金の鐘を鳴らし、その音は地上のクリケットたちにも届きます。国に嘘をついたとして処刑されてしまったノーランドの無念を400年ぶりに晴らす伏線回収で、今でも「空島の伏線が最高」と振り返る読者も多いようです。

 また、「ホールケーキアイランド編」にてサンジがノースブルーの海遊国家「ジェルマ王国」の第三王子(名前の由来も三男だから)と判明した際、驚いた方も多いと思いますが、実はサンジが初登場したイーストブルーの「バラティエ編」から伏線があったとも言われています。

 サンジと恩人ゼフの過去回想が始まった56話「やなこった」にて、9年前に客船オービット号でコック見習いをしていたサンジは客の食い残しの高級料理を食べる同僚たちを咎めており、味が悪そうな食材も捨てたことを話しています。この場面は、サンジが高貴な生まれであることの伏線ではないかと後から話題になりました。

 そのほか、電伝虫でクロコダイルに「Mr.プリンス」という偽名を名乗ったこと、ジャヤで絵本「うそつきノーランド」について知っていたことでサンジの生まれがノースブルーと判明するも、「どうでもいいさ」と自分の出自をあっさり流そうとしたことも、サンジが王子である伏線だったのではないでしょうか。

 また、サンジは「スリラーバーク編」にて、自分の憧れの「スケスケの実」をアブサロムが食べていたことに激しい怒りを見せます。なぜ以前から透明になれるスケスケの実のことを知っていたのか、それはサンジが子供の頃に「悪魔の実大図鑑」という本を読んでいたからだというのです。「そんな本が一般家庭にあるの?」という疑問の声もありましたが、科学戦闘部隊「ジェルマ66」を持つ軍事国家であれば、研究用の蔵書として保管されていても何らおかしくはありません。

 最後は「四皇」についての伏線です。こちらは回収までの年月が、特に長いことが大きな話題になりました。きっかけは、2002年に発売された25巻の表紙です。この表紙に登場していたのはシャンクス、黒ひげ、ルフィ、バギーの4人でした。当時はなぜこの4人が表紙だったのか、明確な理由は明かされていません。

 しかし、それからおよそ20年たったカイドウ、ビッグ・マム敗北後の「ワノ国編」終盤、上記の4人は「新四皇」として君臨することになります。さらに2023年発売の105巻の表紙には、この4人がほぼ同じ構図で再登場しました。20年前から新四皇の構想を練っていたという驚きと、表紙のセルフオマージュもたまらない伏線回収です。

「80巻越しの伏線回収が読めるとは感動」「すごすぎる」「25巻で中央に紙を食うヤギがいるのは、シャンクス以外の旧四皇の手配書を食ってるって意味なのかな」「『紙(神)=イム様』を食う存在としての未来の四皇ってことでは」と、感嘆の声やいろんな別の考察も生みました。

 ちなみに25巻の表紙には同巻収録の233話「世界最高権力」に登場した、謎の人物「親方」と彼が掘っていたトンネルが描かれています。バギーたちが「キャプテン・ジョンの財宝」があると思って入った「とある島」の洞窟にて、親方はトンネル工事の現場を取り仕切っていました。

 ただのギャグのような場面でもありますが、そのとある島の小山は意味深な髑髏の形をしています。「わざわざ25巻の表紙にするってことは、親方がいたあの島が『ラフテル』なのでは」「親方のトンネルには電気で動く照明が存在してたし、あそこを掘った先に世界政府樹立前の『巨大な王国』のテクノロジーが眠っている」などの考察が出ていますが、果たしてあの親方と島は「重要な伏線」として回収されるのでしょうか。

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